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2021年5月の気になった論文(完全版)

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もう5月。5月といえば、こどもの日。 大人になりたい! 今月から、講演動画も追加してみた。 No.1 5/1~5/8 No.2 5/9~5/15 No.3 5/16~5/21 No.4 5/16~5/29 No.5 5/31 ・Fe(Se,S)のTcの飛びとBEC-BCSクロスオーバー的振る舞い、臨界組成近傍の測定が丁寧ね。 ・フロケ-アンドレーエフ状態のSTM、テクくて好き。 ・セミ磁性トポロジカル絶縁体の半整数量子化、量子場理論の予言を実証するの面白い。 ・謎のC-S-H系室温高圧超伝導、結晶構造がわかってきたのね、良い進展だ。 ・超伝導体の転移温度に上限ありません理論、熱い。 ・トポロジカルカゴメ金属の薄膜化が最近流行ってるのかな。 ・MoB2の圧力下超伝導の発見、Tc=30Kくらいで夢がある。 ・物質データベースの物質全部の電子構造計算してトポロジカルか調べた論文、お疲れさまです。 ・ニッケル酸化物のノンドープ超伝導の発見、これは革命的発見では。 ・Bi4I4の構造相転移にともなう弱トポ→高次トポ相転移の発見、議論が巻き起こりそうね。 Berry connection from many-body wave functions and superconductivity~ https://arxiv.org/abs/2105.02364 「A fundamentally revised version of superconductivity theory has been put forward by the present authors」 強気の主張だ High-sensitivity of initial SrO growth on the residual resistivity in epitaxial thin films of SrRuO3 on SrTiO3 (001) https://arxiv.org/abs/2105.02404 ルテネイトの高品質薄膜は初手のSrOの出来栄えに依存する、渋い研究だ Layer-Resolved Many-Electron Interactions in Delafossite PdCoO2 from Standing-Wave Photoemission Spectroscopy

「物理-超伝導+人生=天文学」~FastTextを使ったCond-matのアブストラクト分析~

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【イントロ】 今回の記事では、Pythonの自然言語処理ライブラリ、 FastText の一連の利用方法を習得することを目指しました。題材として、 Cond-mat のアブストラクトの分析をとりあげます。 【方法】 コードは こちら のGithubにあげています。 実行はGoogle colabを利用して行いました。 手順は以下の通りです。 ArxivのAPI を利用して、対象カテゴリの論文のアブストラクトをCSVに保存する。 収集したアブストをFastTextに読み込み学習させ、単語ベクトルを生成する。 学習させたモデルを利用して、対象単語の類似単語、単語ベクトルの足し引きをおこなう。 以上です。簡単ですね。 詳細はコードを確認してみてください。 今回、Cond-matのカテゴリとして「Super-con」(超伝導)と「Str-el」(強相関電子系)の2つを1万件ずつ抽出しました。Cond-matの各カテゴリは、月当たり200件ほどアップロードされているので、おおよそ5年分程度の論文数になっています。 他のカテゴリも学習させればもっと賢くなりますね。知性、知性。 【結果】 主だった結果です。 まず、「Cuprates」(銅酸化物)の類似単語を調べてみました。類似単語には擬ギャップ、オーバー/アンダードープといった 銅酸化物超伝導 に関連した単語が見て取れます。また Nickelates (ニッケル酸化物)といった超伝導メカニズムの関連性が指摘される物質の名前も上がっています。 次は、「Graphene」(グラフェン)です。二層グラフェンや、捻りグラフェンといった最近話題の マジックアングルグラフェン 関連の単語がみてとれます。またグラフェンを支える基板であるh-BNを表す「Nitride」も関連単語として現れています。NIMSが誇る W&T の影響力はここにも現れています。 さて、最後に単語ベクトルの足し引きを行ってみました。 「パリーフランス+日本=東京」のように単語の意味合いを維持したまま、異なるベクトルを持つ単語に変換する手法です。 試しに、「物理ー超伝導+人生」を計算してみたところ、最も類似度の高い単語は「天文学」になりました。 つまり、「人生=超伝導+天文学ー物理」、人生とは物理のない超伝導天文学ということですね。どうい

学振採用人数の増えている人気の分野はどこだ2021

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  【イントロ】 春ですね。 そう、春と言ったら日本学術振興会特別研究員、いわゆる学振申請の季節です。 今まさにGW(Gakushin Week)の真っ最中。 松尾芭蕉も歌に読んでいますね。 「学振を集めてはやし最上川」  そんな学振申請ですが、同じ審査区分でもいろいろな分野(小区分)が存在し、どの分野を狙えばいいのか迷ってしまいます。できれば採用人数がたくさんのところに申請したいですが、一方でライバルも多い。。。戦略が必要になってきます。とはいえ、そもそもどの分野の採用人数が多いのか、少ないのかわからないと戦略の立てようも有りません。   先行研究 として、学振DCの応募者数と採択率の変化を調べたものが存在します。しかし、小区分ごとの推移はその記事からはわかりません。  そこで本記事では、過去3年の学振の採用分野ごとの人数を調べることで、最近流行りの分野が何なのか明らかにすることを目指しました。 【方法】  こちらの 学術振興会HP を参考に、集計対象は2019年~2021年の3年間に、審査区分「数物系科学」にDC1採用された申請者としました。採用小区分ごとの採用人数を調べて3年間の推移を調べました。PDFをWordで開いてコピーしEXCELに貼り付けてピボットテーブルで集計しています。 コレより過去では小区分の区分が(たぶん)変わっていて統一的に集計できないためです。この事実に気づいたため、データが3年分そろうのを1年待ちました。 【結果】  まずは、応募者数と採用数、採用率です。  図1をみると、この3年間は、応募者数は600人弱で一定となっている様子が見て取れます。コロナ流行が合ったとはいえ、学振応募者数に影響は小さいようです。 男女別で観てみると、R3年分の女性の応募者は少し減少したようです。とはいえH30年比では増えているため、ばらつきの範囲かもしれません。むしろ男性の応募者が509±1人で推移してるのがすごいですね。  次に採用者数を見てみると、図2の通り、この3年で増加傾向にあることが見て取れます。良い傾向ですね。女性の採用者数はH31年が一番多く、そこから減少傾向にあります。H31年とR3年度の変化は応募者数が減少したことが効いていそうです。  最後に図3の通り採用率をみてみると、R3年の採用率は男女ともにほぼ同じです。すごいで