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2月, 2022の投稿を表示しています

レンズの違いのわかる漢になりたい!

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【イントロ】 写真っていいですよね。 いろんな景色、人、食べ物、建物。。。 被写体とレンズの組み合わせの数だけ、色々な姿の世界を切り取れます。 ・・・レンズ? レンズってそんなに違うのか??? 本記事では、手持ちのレンズの違いを確認してみました。 【手法】 手持ちのカメラとレンズで撮影を行い、その映りの比較を行いました。 カメラは、 Sony α7C を使用しました。フルサイズでコンパクトで最高です。 公式HP( ※ )より レンズは以下の4個です。 ● Tamron 28-200mm ● Sony 28-60mm ● Zeiss Batis 40mm ● Tamron 20mm 公式HPより( Tamron 28-200mm 、 Tamron 20mm 、 Zeiss Batis 40mm 、 Sony  28-60mm ) ちなみに、カメラ、レンズ情報だとこちらの高澤 けーすけさんの Youtubeチャンネル がわかりやすくて好きです。 【結果】 同じ場所から、各レンズの最小焦点距離で撮影した結果です。 うーん・・・違いがわからん! Batisの青みが少し強いのと、超広角に属する20mmの画角はやはり広いという点はわかります。超広角レンズできれいな景色撮りたいですね。 Tamron 28-200mm (28mm) Sony 28-60mm (28mm) Zeiss Batis 40mm Tamron 20mm 次に、同じ画角同士の比較を行いました。 Zeiss Batis 40mmとTamron 28-200mmの40mmの比較結果です。 こうしてみると、Batisの青みの強さがはっきりしますね。 拡大したときのシャープさもお気持ち程度Batisの方が良い気がします。 Zeiss Batis 40mm Tamron 28-200mm (40mm) 別の被写体でも確認してみました。 やはりBatisのほうが青み、暗さが強い絵が撮れていますね。 Zeiss Batis 40mm Tamron 28-200mm (40mm) さらに、Tamron 28-200mmとSony 28-60mmの比較も行いました。 比較してみると、Sony のほうが少し暗いかな?という印象です。 コレはおそらく、Tamron 28-200mmがF2.8 始ま

超伝導体のTcを機械学習で予測する論文を追試してみる

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 【イントロ】  近年深層学習を始めとしたAI技術の発展が著しく、基礎、応用研究の両面で活用が進められています[1]。  特にAI技術の材料科学への適用はマテリアルインフォマティクスと呼ばれ、新規材料の発見や生産プロセスの最適化への活用が進められています[2]。  機械学習の導入による新規材料の開発が求められている分野の1つが、超伝導体材料開発の分野です。より高温で超伝導状態となる物質の開発のため、日夜様々な研究がなされています[3]。  そこで本記事では、機械学習により物質の超伝導転移温度(Tc)を予測することを試みた論文の追試を行った結果をまとめてみました。 【方法】  参考にした論文は、Kam Hamidiehによる論文” A Data-Driven Statistical Model for Predicting the Critical Temperature of a Superconductor”[4]です。一番簡単そうだったことと、著者が使用したデータを公開していたことが、こちらの論文を参考にした理由です。  この論文では、以下のデータ、手法を用いて、超伝導体の構成元素の物性値からそのTcを予測するモデルを提案しています。 データ:NIMSの超伝導データベース 手法:XGBoost  使用している物性値は次のとおりです(図1)。 図1、使用された物性値  また、物性値に以下の処理を加え、特徴量エンジニアリングを行っています(図2)。 図2、特徴量エンジニアリングの方法  追試としては、Scikit-learnを用いた決定木による回帰モデルによる上記論文の再現を目的としました。使用したコードは、Githubリポジトリ[5]に保管しています。データセットは「data_source」ファイルに記載している論文の参考HPページ[4]に情報があります。 論文[4]の解説と実装もそちらのHPに記載されているのでご参考ください。 【結果】  決定木を用いて予測したTcと実際のTcの関係は以下の通りです。R2値は0.85程度となり、比較的強い正の相関を示しています(図3)。 図3、決定木によるTcの予測値と実測値 一方、論文で示された値はR2=0.92程度となっており、XGBoostの方が相関が強く出ていることが見て取れます(図4)。

トポロジカルカゴメ金属AV3Sb5 (A=K, Cs, Rb) ってどこまでわかってるの?

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 【イントロ】  固体物性の研究にも流行り物質というものがあります。 銅酸化物や鉄系超伝導といった高温超伝導体、トポロジカル絶縁体、最近ではマジックアングルグラフェンに始まるツイストロニクスが流行している(していた)研究と言えるでしょうか。  そんな最近の流行研究の1つとして、トポロジカルカゴメ金属、AV3Sb5 (A=K, Cs, Rb)の研究が挙げられます。毎日のように新しい研究がCond-matに挙げられ、その新奇な物性が明らかになりつつあります。  一方で、ワイの人生は辛いです。  そこで本記事では、AV3Sb5の物性がどこまで明らかになってきているのか、気晴らしにまとめてみました。主な記載内容は、昨年9月にCond-matにK. Jiang氏らによって報告されたレビュー[1]を元にしています。 【モチベーション】 カゴメ格子上のフェルミオンの電子相関と幾何学的フラストレーションの関係がホットトピックになっています。関係する現象としては、例として以下の物性が議論されています[1]。その研究対象の物質として、AV3Sb5に注目が集まっています。 ・Dirac電子 ・Diracギャップ ・量子異常Hall効果 ・フラットバンド ・分数Chern絶縁体 コレはまさに創発カタログ。 【合成方法】 ASb2(A=K, Cs, Rb)を使ったフラックス法で作成されているようです[2]。 アルカリ金属の扱い大変そう(こなみ) しかし結晶は結構大きくて良さげ。 【結晶構造】 結晶構造はP6/mmm[1]。 V-Sbのシートの間に、A原子が挟まった二次元的な構造をしています。 V原子からなるカゴメ格子の中心にSbの三角格子が形成されています。 A原子はSbシートの上下で三角格子を作っています。 うーん、これはカゴメ格子。 【電気抵抗と比熱に見られる相転移】 ○電気抵抗の温度依存性 常伝導状態では、電気抵抗ρ(T)はフェルミ液体的温度依存性を示します[1]。 ρ(T) = ρ_0 + AT^2  ここで、ρ_0は残留抵抗、Aは係数。 二次元的な結晶構造を反映して、ab面内とc軸方向の抵抗の比は600程度あるが、温度依存性は同じになっていておもしろいです。 ○相転移に伴う異常 T=90K付近に電荷密度波(CDW)転移に伴う異常(T_CDW)があり、さらにT=1K付近で超

2022年2月の気になった論文(完全版)

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 限界を感じる No.1:2022/2/6 No.2:2022/2/13 No.3:2022/2/20 No.4:2022/2/27 ・分数量子ホール状態の量子化熱コンダクタンスの観測、熱も量子化するのか。 ・ニッケル酸化物超伝導はd波対称性か問題、同じ磁場侵入長でも解釈違いがあるか。 ・鉄系SCのネマティック応答をネルンスト効果で捉える、弾性応答以外の手段があるのね。 ・RuCl3の熱測定のサンプル依存性講演、育成法次第で結晶構造違ったらもうコレなんだ? ・NV中心磁気力顕微鏡による強誘電体トポロジカル欠陥の可視化、かっこよす。 ・銅酸化物の擬ギャップとAF相関は別物説、着々と証拠が増えていく。 ・ダイヤモンドNV中心磁力計x機械学習、時代の先端である。 ・1T-TaSe2のQSLのスピノン近藤効果の観測、強い現象だ ・液体時間結晶、連続時間結晶の発見、時間結晶は引き続き熱い ・過冷却ヤーンテラー氷、かっこいい概念だ ・ポータブル(?)77Tマグネット、量子ビームで新現象発見まったなし! ・RuCl3のサンプル依存性検証、ブリッジマン法育成サンプルでもばらつく、かなしい ・イリジウム酸化物のワイル半金属性の名残、こういうの好き。 ・トリゴナル超伝導体PbTaSe2の整流効果、半導体に勝つ!!! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ☆No.4 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Quantized and unquantized thermal Hall conductance of Kitaev spin-liquid candidate α-RuCl3 https://arxiv.org/abs/2202.11947 RuCl3の熱ホール量子化、「量子化現象が不純物散乱と非キタエフ相互作用の影響を大きく受けていることを示しています。」、ブリッジマンサンプル内でもサンプル依存するのか。 サンプルごとの結晶構造とかもみてるのかな? Spin-liquid signatures in the quantum critical regime of pressurized CePdAl https://arxiv.org/abs/2202.11975 スピン液体界の新人かな Ultrasensitive,