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PRLに最初に載った論文ってどんな論文?

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  【イントロ】  いい結果だしたらいい雑誌に論文を載せたい。  研究者の素直な欲求ですね。  物理の雑誌で一番いい雑誌といえば、アメリカ物理学会発行の Physical Review Letters 、通称PRLです。NatureやScienceもありますが、インパクトや見た目の派手さ重視の商業誌と違って、PRLに掲載されたといったほうが玄人好みの印象です。渋い。  それでは元祖渋い論文はどんなものなんでしょうか?  本記事では、PRLの創刊号第一巻に掲載された論文がどのような論文なのか調査しました。 【調査方法】   PRLの創刊号第一巻 に掲載された論文を一つ一つチェックして、内容と著者と所属機関と所属国を調査しました。人力です。 ちなみに、「Physical Reviewに最初に投稿した日本人は誰か?」は、こちらのPodcast( 22: First Japanese on Phys. Rev. )で考察されています。 【論文一覧】 全25本の論文の概要です。 1,Magnetization in Single Crystals of Some Rare-Earth Orthoferrites R. M. Bozorth, Vivian Kramer, and J. P. Remeika Phys. Rev. Lett. 1, 3 (1958) – Published 1 July 1958 概要:オルソフェライトはRFeO3(Rは希土類)と表される化合物。その磁化に関する研究。 著者から、ベル研の研究と推測されます。企業の中央研究所における基礎研究の黄金時代という感じでしょうか。 (参考: Ferromagnetism (Bell Laboratories S.) ハードカバー – 1951/12/1 ) 2,Thermal Effects of the Martensitic Transition in Sodium Douglas L. Martin Phys. Rev. Lett. 1, 4 (1958) – Published 1 July 1958 概要:金属ナトリウムの比熱測定。40Kから100Kの測定。何Kまで冷やしてから比熱測定するかで、 マルテンサイト変態 の有無により比熱のカーブが変化することを発見。著者は...

2021年9月の気になった論文(完全版)

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 9月。 仕事ってむずかしいね。。。 No.1 2021/9/4 No.2 2021/9/12 No.3 2021/9/18 No.4 2021/9/25 No.5 2021/10/1 ・45°捻り二層銅酸化物によるトポロジカル超伝導の兆候の観測、Nphysに理論がでたときは冗談かと思ったけど、P.Kim研が実現していてすごい。追試が待たれる。 ・三層グラフェンにおける超伝導の発見でNatureがでて、それに関係する理論が続々Arxivに。 ・RhSi、CoSiにおけるヘリコイドアークのARPES観測、すごい形のFermi面だ ・ルテネイトの超音波減衰から多成分超伝導の兆候の観測、単純なp波SCを否定しても、対称性の決定は引き続き難問ね。 ・アモルファスBiSe3におけるトポロジカル表面状態、トポロジカルの概念広がるか? ・K2Cr3As3のp波超伝導の兆候をNMRで観測。新人デビューきたな。 ・無限層銅酸化物を超格子にして超伝導化に成功、やNTTナンバー!。 ・PrAu2Si2のスピングラス、アニールしたら消えちゃった論文、泣いた。 ・SYKモデル、Ni超伝導、Ru超伝導接合、トポカゴメ、いろんなレビューでてきたね。 ・中国グループも超伝導量子回路で時間結晶実現、グーグルを猛追!(?) ・Ni超伝導、STO基板じゃなくてLSAT基板でも超伝導出るよ、バリエーション増えるね。 ・ドープなしで銅酸化物と同じキャリア数のニッケル酸化物超伝導の発見、夢がある! ・冷却原子ガスでクーパー対を観測成功、蛍光測定すごい。 ・MAGが非従来型超伝導であることをSTMとPCSで実証、仕事が丁寧ね。 ・Ni酸化物SCに圧力かけたらTc上がり続ける、夢がある。 ・mmスケールのBECを使った重力赤方偏移の観測、そんなんできるの!??ってなる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ☆No.1  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Quantum Design for Advanced Qubits https://arxiv.org/abs/2109.00994 新しい超伝導量子回路の提案かな? Spontaneous Gully Polarized Quantum Hall States in ABA Trilayer G...