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10月, 2021の投稿を表示しています

About Young Scientist Award of the Physical Society of Japan (2022)

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【Introduction】      The 16th (2022) Young Scientist Award of the Physical Society of Japan (JPS) has been announced.( Here ) ・ Kosuke Karube (RIKEN)  ・ Takashi Kurumaji (The University of Tokyo) ・ Yasuyuki Shimura (Hiroshima University) ・ Masamichi Nakajima (Osaka University) Congratulations to all the award winners!           The award was established with the following objectives in mind. ”The JPS has established the Young Scientist Award for young members to encourage the research of outstanding young scientists who will lead the future of physics and to further revitalize the society.”      To be eligible for the award, you must be a member of the Physical Society of Japan. You must be 39 years old or younger on April 1 of the year following the year you receive the award. For the 16th award, the recipient must have been born on or after April 2, 1983. However, the age limit may be relaxed in the case o...

日本物理学会で若手奨励された研究はどんなの?(2022年)

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【イントロ】 第16回(2022)日本物理学会若手奨励賞(領域8)が発表されました。( こちら ) ・軽部皓介 (国立研究開発法人 理化学研究所 創発物性科学研究センター) ・車地崇  (東京大学 大学院新領域創成科学研究科 物質系専攻) ・志村恭通 (広島大学 先進理工系科学研究科 量子物質科学プログラム) ・中島正道 (大阪大学 大学院理学研究科 物理学専攻) 受賞者の皆様おめでとうございます。 若手奨励賞は、「日本物理学会では、将来の物理学をになう優秀な若手研究者の研究を奨励し、学会をより活性化するために、若手会員を対象とした「若手奨励賞」を新設しました。」という 趣旨 により創設されたものです。 その受賞資格は、「日本物理学会会員であること。受賞年の翌年4月1日において39歳以下であること。第16回は1983年4月2日以降に生まれた方。ただし、出産、育児により研究を中断するなどの事情がある場合は年齢制限を緩和することができる。」となっています。 ところで、日本を代表する若手物理学者とその研究、興味ありますよね? ミーハーなので僕は興味あります。 そこで本記事では、著者が興味のある領域8の受賞対象論文についてその内容をご紹介したいと思います。 【方法】 各論文(主にアブストとイントロ部分)を読んで要約する。 引用数は Google Scolar 調べ、または JPSJ 調べです。(2021/10/26時点) 【 紹介】 ・ 軽部皓介  (国立研究開発法人理化学研究所 創発物性科学研究センター) 「磁気スキルミオンの安定性に関する探査と新物質開拓」 "Robust metastable skyrmions and their triangular-square lattice structural transition in a high-temperature chiral magnet", Nature Materials 15, 1237 (2016) . ( Arxiv ) 引用数:157回 概要:スキルミオンはトポロジカルに保護された性質を含め将来のスピントロニクスデバイス応用に向けて魅力的なスピン構造である。このスピン構造を示す物質のうちCo-Zn-Mn合金Co8Zn8Mn4は室温付近で三角格子ス...

最強の凝縮物性研究者(Cond-mattest)を探せ!(ぶひん調べ)

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【イントロ】 最強になりたいですよね。 全てに負けない力を手に入れたい。 でも、どうやったら最強になれるのでしょうか? 最強になるために、最強の存在を探る。 それが、第一のステップです。 では最強の存在を知っているのは誰でしょう? 現代の最強の存在、知の巨人、そうGoogleですね。 そこで本記事では、最強のGoogleが公認する、最強の凝縮物性研究者(Cond-mattest)を探すことを試みました。 【方法】   Google Scolar に掲載されている凝縮物性系研究者の引用数とh指数、最多引用論文とその引用数を調べました。一番引用されている研究者が最強、シンプルな理屈です。  分野は、総合分野、実験分野、理論分野、個別分野3つ(強相関電子系、超伝導、トポロジカル絶縁体)を対象としました。  対象としたのは、調査した分野のタグが付けられている研究者のみですので、漏れはあります。また、明らかに調査した項目と別分野と思われる論文が多い研究者の方は除いています(天文学や、生物系分野の論文が多く含まれている方)。  加えて、当然ですが、Google Scolarに掲載されていない研究者の方は含まれておりません(例えば、東大の Y. Tokura 先生など)。 【結果】  まずは、総合分野、「 Condensed_matter_Physics 」分野です。上位20位を下図に示しています。  引用数第一位は Georg Kresse 先生。総引用数28万超え、h指数126、平面波基底を用いた第一原理計算の手法を考案した論文が7万回以上引用されている第一原理計算界の王というところです。  続いて第二位は Gustavo E. Scuseria 先生。こちらはh指数134、第一原理計算ソフトGaussian を考案した論文が11万回超えの引用を超える、こちらも第一原理計算界の巨人です。  最強になるには、誰もが使いたくなる道具を生み出すことが大切だということが伝わってきます。  日本の所属からは、11位に理化学研究所の Franco Nori 先生がランクイン。量子物性の理論的研究で高名ですね。総引用数6.6万を超えるツワモノですが、最多引用は意外にも哺乳類ゲノムのScience論文です。ちなみに2番目に引用されているのは量子シミュレーシ...

2021年10月の気になった論文(完全版)

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10月。 人生が険しい。。 無能はつらい。。。 No.1:2021/10/9 No.2:2021/10/17 No.3:2021/10/22 No.4:2021/10/30 ・Ba122の構造制御だけで超伝導発現、メカニズムに迫る研究で好き。 ・グラフェン/CrOClの量子ホール効果とロジック動作、次の流行り物質かな ・熱雑音限界を超える、ベイズ・マクスウェル・デーモンの提案、かっこいい技術だ。 ・(Ca,Sr)3(Ir,Rh)4Sn13の電子線照射磁場侵入長、不純物効果おもしろいね。 ・Bi4Br4の室温量子スピンホール状態の観測、米中グループの競合ですな。 ・数独インスパイアシャノンエントロピー合金、なんぞい。 ・VSe2の100K超伝導の観測、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! ・UTe2は単一成分超伝導だよ説、2成分説のサンプルがアレ説濃厚なのかな? ・二層グラフェンに電場と磁場をかけてスピン3重項超伝導を実現、すごい ・トポカゴメ金属CsV3Sb5に元素置換して2ドーム超伝導、また盛り上がるね。 ・有機物超伝導体のネマティックFFLO状態、ホットな話題ね ・CSH系高圧室温超伝導の論争、Hirschによる詐欺呼ばわりで燃え上がってきた ・Cu3TeO6の超巨大熱ホール効果、フォノンはすごい。 ・SrxBi2Se3の2回回転対称性応答のサンプル形状依存性、気をつけなきゃね。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ☆No.1  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Unraveling higher-order corrections in the spin dynamics of RIXS spectra https://arxiv.org/abs/2110.03186 RIXSでスピン間の高次補正に由来するfour-spinon excitationsの観測、やっぱりRIXSは夢があるね。 Local atomic configuration control of superconductivity in the undoped pnictide parent compound BaFe2As2 https://arxiv.org/abs/2110.03640 Ba122、構造制御だけで超伝導出せるか...