強相関電子系の世界の強豪を学ぼう~実験編~
【イントロ】
大学4年生になった!
研究室に配属されて強相関電子系の研究を始めたぞ!
でもどんな論文読めばいいんだろう・・・
あーどこかに有名研究者がまとまっていればなーーー!
ということで、調べて見ました。
【方法】
がんばって調べる
海外所属の研究者を主に調べました。
日本の研究者?
それはみんな有名だから割愛です。
ここで紹介した以外にも有名な先生はたくさんいるので、
この記事を参考に芋づる式に調べてみてください。
ちなみに各研究者について以下のような情報をまとめてます:
代表論文と引用数(おおよそ)
手法の技術的ポイント
研究者間のつながり(師弟・協力関係)
【結果】
Robert Cava(プリンストン大学)
| Wiki |
実験は物質がなければ始まらない。
物質合成といえば、プリンストン大学のR. Cava御大、通常Bob Cavaだ!
ビスマス酸化物、銅酸化物超伝導体からトポロジカル物質まで発見した物質は多種多様。
物質合成マンはここのラボ出身者がおおいぞ。
代表論文:
YBCOの超伝導(Ba₂YCu₃O₇)に関する初期論文群(引用数3万超 / 総論文数500本超)
トポロジカル絶縁体の物質探索(Hasan御大と共同、後述)
つながり:
Bell研究所出身→プリンストン移籍。プリンストン内では N.P. Ong御大(輸送測定)、M.Z. Hasan御大(ARPES)と密接に連携。「物質を合成するCava、表面を観るHasan、電流・熱を流すOng」というプリンストン最強トリオを形成しているぞ!
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Claudia Felser(マックス・プランク研究所)
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こちらもトポロジカル物質から超伝導体まで幅広く合成しているぞ
代表論文:
Co₂MnGaなどのトポロジカル磁性体に関する研究(引用数数千件規模)
ハーフホイスラー系トポロジカル絶縁体の予測・合成
つながり:
ドイツのMPIを中心に、Keimer御大とも近い関係。理論グループとの共同研究が多く、物質合成と理論予測を組み合わせた仕事が多いぞ。
測定するなら一番かっこいい測定がいいぞ。
つまりARPES!
ARPESって何だ?光(紫外線やX線)を物質に当てて飛び出してくる光電子のエネルギーと角度を測定する手法だ。これにより物質中の電子のバンド構造とフェルミ面を直接可視化できる。まさに「電子の動く様子を直接見る」究極の測定だ!
そしてARPESの大家といえば、スタンフォード大学のZ.X.Shen御大だ!
銅酸化物超伝導体の測定を中心に、鉄系超伝導体やトポロジカル物質まで、
築き上げたSLACのビームラインを駆使して最高クオリティのスペクトルを生み出すぞ!
世界中の大物ARPES測定屋さんの中でもラボ出身者が多いぞ!
代表論文:
Damascelli, Hussain, Shen, Rev. Mod. Phys. 75, 473 (2003)(引用数3700超 / ARPESの教科書的レビュー)
Chen, Y.L. et al. (Shen, Fisher共著) Science 325, 178 (2009)(引用数3100超 / Bi₂Te₃のトポロジカル絶縁体ARPES)
つながり:
Shen御大の門下からは M.Z. Hasan御大(プリンストン)、N.P. Armitage御大(JHU)など錚々たるARPES界の重鎮が羽ばたいていった!まさにARPES界のゴッドファーザーだ。また H.Y. Hwang御大(スタンフォード)とは同僚で緊密に協力しているぞ。
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M. Zahid Hasan(プリンストン大学)
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トポロジカル物質のARPESでぶいぶい言わせてるぞ!
代表論文:
Hasan & Kane, Rev. Mod. Phys. 82, 3045 (2010)(引用数2万超!トポロジカル絶縁体の聖典)
Hsieh et al., Nature 452, 970 (2008)(3次元トポロジカル絶縁体の発見)
総被引用数10万超という化け物レベルの実績だ!
つながり:
師匠は Z.X. Shen御大(スタンフォード大)。プリンストンでは R.J. Cava御大・N.P. Ong御大 と連携し、「Cavaが作り、Hasanが見る、Ongが流す」という最強トリオを結成。
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そのとおり!
輸送測定の大家といえば、プリンストン大学のN P Ong御大だ!
世界に広がる輸送測定、熱輸送測定を行っている門下生も多いぞ!
測るぞ熱伝導!磁場中エイヤで熱ホール効果!
代表論文:
Bi₂Te₃のトポロジカル物質に関する輸送測定研究(Cava・Hasanと共著)
銅酸化物の熱ホール効果に関する一連の論文
つながり:
プリンストン内では Cava御大・Hasan御大 と連携する最強トリオの一角。さらに Checkelsky御大(MIT、後述)はOng御大の門下生で、輸送測定の伝統を継承しているぞ!
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バルクの物性だけじゃなくて、表面の物性も知りたい!
そしたら走査型トンネル顕微鏡、STMだ!
STMって何だ?金属の探針(チップ)を物質表面に極めて近づけ、トンネル電流を測定することで原子分解能で表面の電子状態を実空間で可視化できる手法だ。ARPESが運動量空間(k空間)の情報を与えるなら、STMは実空間(r空間)の情報を与える。この二つは強相関電子系理解の両輪だ!
強相関電子系、特に銅酸化物超伝導体を中心に、STMの最先端を行くのがJC. S. Davis御大だ。
代表論文:
Hanaguri, Lupien, Kohsaka, …, Davis, Nature 430, 1001 (2004)(銅酸化物のチェッカーボード電荷秩序)
銅酸化物ネマティック電子構造、PDW状態の観測など多数のNature/Science掲載論文
つながり:
コーネル大学→オックスフォード大学。日本との縁が深く、東大の 内田慎一御大や、高木英典御大(後述)などとも共同研究多数。門下生たちは世界中でSTM測定技術を磨いているぞ!
Harold Y. Hwang(スタンフォード大学)
| National Academy of Sciences |
2次元物質強相関電子系といえは、スタンフォード大学のH.Y.Hwang御大だ!
LAO/STO絶縁体界面の金属状態の発見、ニッケル酸化物超伝導の発見で有名だ!
代表論文:
Ohtomo & Hwang, Nature 427, 423 (2004)(LAO/STO界面の金属状態発見、引用数5000超)
Li et al., Nature 572, 624 (2019)(ニッケル酸化物超伝導の発見)
つながり:
かつては東大で教鞭をとっていたため、門下生に日本人が多い。スタンフォードでは Z.X. Shen御大 と同僚でニッケル酸化物のARPES測定などで協力関係にあるな
Bernhard Keimer(マックス・プランク研究所)
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ドイツの強相関電子系の大御所の一人といえば、B.Keimer御大だ!
銅酸化物超伝導体のX線や中性子散乱を使った研究で成果を重ねていて、東大の内田御大達と銅酸化物超伝導のレビューをNatureにも出しているぞ!
代表論文:
Keimer et al., Nature 518, 179 (2015)(銅酸化物超伝導の包括的レビュー、引用数3000超)
つながり:
ドイツMPIを拠点に日本の 内田御大・高木御大 と長年の共同研究関係。同じくMPIの Andrea Cavalleri御大(光誘起物性)とも近い関係だ。ドイツへのポスドク・博士進学を考える人はぜひKeimer御大のラボをチェックだ!
中国を代表する強相関電子系の物性研究者の一人といえば、Q.K.Xue御大だ!
量子異常ホール効果の発見でも知られる御大だ。
MBE薄膜成長とその場(in-situ)ARPES・STMを組み合わせた究極のセットアップが武器だな
代表論文:
Chang et al., Science 340, 167 (2013)(量子異常ホール効果の実験的発見)
Wang et al., Science 332, 560 (2011)(FeSe/STO系の超伝導)
つながり:
中国強相関電子系薄膜研究のドンで、著者欄の最後がQKXの論文がScienceやNatureに頻出するぞ(自社調べ)。弟子たちが中国国内の各大学・研究所を掌握している印象だ。
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N. Peter Armitage(ジョン・ホプキンス大学)
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強相関電子系のテラヘルツ波分光の第一人者といえば、N.P.Armitage御大だ!
テラヘルツ(THz)時間領域分光法は、ミリ波〜赤外領域の光を使って物質の低エネルギー光学応答を測定する。超伝導ギャップや磁気励起・トポロジカル磁気電気効果など、他の手法では捉えにくい低エネルギー物理を直接見ることができるぞ。
代表論文:
電子系銅酸化物超伝導体のARPESや、トポロジカル物質のTHz分光に関する一連の論文
つながり:
師匠は Z.X. Shen御大(スタンフォード大)。ARPESからTHz分光へと研究手法を大転換して独自のポジションを確立した
| Google scholar |
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| Google scholar |
もっと精密に結晶方位や形状も考慮した測定がしたいなぁ
そうだ微細加工をしよう!
微細加工x強相関電子系で、物性を制御、解明する研究で面白い研究が多いぞ。
ワイは特に、トポロジカルカゴメ超伝導体の歪依存性を見出した研究が好きだ!
微細加工x強相関電子系、ナノテク応用も考えると深堀りする価値があると思います!
代表論文:
カゴメ超伝導体の微細加工を用いた輸送測定に関する論文(Nature Physics等掲載)
つながり:
独MPIを拠点に、単結晶試料の供給者としてFelser御大 など物質合成グループと連携することが多いぞ
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物質の磁気状態をみるといったら、中性子散乱!
中性子散乱は中性子の磁気モーメントを介してスピン揺らぎ・スピン波(マグノン)を直接測定できる。X線には見えない磁気的秩序・揺らぎが見えるのが最大の強みだ。
強相関電子系の中性子散乱といえば、P.C.Dai御大だ!
代表論文:
鉄系超伝導体(BaFe₂As₂系)のスピン共鳴・スピン揺らぎに関する一連のNature/PRLの論文
つながり:
中性子散乱の世界では John M. Tranquada御大(ブルックヘブン)と並ぶ双璧。中国出身で中国グループとの共同研究も多い
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John M. Tranquada(ブルックヘブン国立研究所)
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銅酸化物の中性子散乱実験の大家、ストライプ秩序の発見者の一人、
そう、ブルックヘブン国立研究所のJohn M. Tranquada御大だ!
銅酸化物超伝導体の中性子散乱を見かけたら、まずはTranquada先生の可能性が高いぞ!(所感)
代表論文:
Tranquada et al., Nature 375, 561 (1995)(ストライプ秩序の発見、引用数2000超)
つながり:
ブルックヘブン国立研究所の中性子散乱の顔として、 P.C. Dai御大 や国際的な中性子散乱コミュニティと連携。銅酸化物超伝導体が出てきたらTranquada先生の論文を探すべし!
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バルクのフェルミ面検出といえば、量子振動!
量子振動(ドゥ・ハース=ファン・アルフェン効果・シュブニコフ=ドゥ・ハース効果)とは、強磁場中でフェルミ面電子がランダウ準位を横切るたびに電気抵抗や磁化が振動する現象だ。振動周波数からフェルミ面の断面積が、減衰から有効質量・散乱時間が分かるぞ。ARPESが表面を見るのに対し、量子振動はバルクのフェルミ面を直接測定できる点が強みだ
強相関電子系の量子振動といえばケンブリッジ大学のS.Sebastian御大だ!
YBCOのフェルミ面の検出や、SmB6のトポロジカル近藤絶縁体の量子振動の発見で有名だ!
後者は論争もあるぞ!
後者は論争もあるぞ!
代表論文:
Doiron-Leyraud et al.(Sebastian含む), Nature 447, 565 (2007)(YBCOの量子振動観測)
Sebastian et al., Nature 511, 61 (2014)(SmB₆の量子振動)
つながり:
ケンブリッジ大で強磁場物理を推進。Louis Taillefer御大(シアブルック、後述)とは熱ホール・量子振動で銅酸化物研究の相補的な情報を互いに供給しあう関係にある。
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Matthieu Le Tacon(カールスルーエ工科大学)
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物質の電子状態や磁気状態にShed light on。。。つまり非弾性散乱だ!
強相関電子系のラマン分光法や共鳴X線散乱(RIXS)で業績を積み上げているのが、Le Tacon御大だ!
RIXSとはX線を物質に照射してエネルギーシフトした散乱X線を検出することで、電子・スピン・軌道・フォノンの励起スペクトルを一挙に測定できる超高機能な手法だ。最近の放射光施設の高輝度化でRIXSの分解能が劇的に向上し、いまや銅酸化物の電荷・スピン励起の「全部盛り」測定が可能になったぞ。
師匠のSacuto御大も強いぞ!
代表論文:
Le Tacon et al., Nature Physics 7, 725 (2011)(銅酸化物のラマン散乱、巨大フォノン異常の観測)
つながり:
もともとドイツMPIのKeimer御大のグループ出身。RIXSコミュニティでは Johan Chang御大(後述)と最強の競合・協力関係にある。
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Dmitri Basov(コロンビア大学)
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物質は見た目が9割!つまり光学測定が重要だ!
光の戦士の代表格が、D.Basov御大だ!
フーリエ変換赤外分光(FTIR)からナノスケール近接場光学分光(ナノ-IR、s-SNOM)まで、光学測定の守備範囲が異常に広い。近接場光学顕微鏡では、回折限界を超えた10 nm以下の空間分解能で光学応答をマッピングでき、相分離や電荷秩序ドメインを「光で見る」ことができるぞ!
代表論文:
銅酸化物・鉄系・トポロジカル物質の光学伝導度に関する多数の論文
つながり:
コロンビア大学では Cory R. Dean御大(後述、2D物質グループ)と同一機関。光学測定コミュニティでは C.C. Homes御大(ブルックヘブン、後述)と並ぶ存在だ。
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Christopher Homes(ブルックヘブン国立研究所)
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強相関電子系超伝導体で成り立つ Homes則(Tc × ρs ∝ σ_dc × Tc、超伝導転移温度と光学的超流動密度と常伝導の電気伝導度の間の比例関係)の提唱者として有名だ!通常の超伝導体から銅酸化物、鉄系まで幅広い超伝導体でこの経験則が成立することが分かっているぞ。
PIだけど、1st論文がおおいぞ!
代表論文:
Homes et al., Nature 430, 539 (2004)(Homes則の提唱)
つながり:
ブルックヘブン国立研究所で Tranquada御大(中性子)と同じ施設に。光学コミュニティでは Basov御大 と双璧をなす。
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Johan Chang(チューリッヒ大学)
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最近流行りの測定手法といえば、共鳴非弾性X線散乱、つまりRIXSだな!
物質中の電子状態も磁気状態も検出できるぞ!
強相関電子系のRIXSといえば、J.Changだ!
RIXSみてからJ.Chang余裕でした、そんな感じだ!
代表論文:
Chang et al., Nature Physics 8, 871 (2012)(YBCOのCDW観測、引用数1000超)
つながり:
チューリッヒ大でヨーロッパRIXSコミュニティをリード。 Le Tacon御大 とは同じRIXS分野での強力な競争相手かつ協力者だ。
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Xingjiang Zhou(中国科学院)
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中国ARPES3兄弟だ!
中国の強相関電子系のARPESといったらだいたいこの3グループのどれかの印象があるぞ(偏見)
X.J.Zhou御大のレーザーARPESの開発力がすごい、金がある!
D.L.Feng御大は最近STMもやっていて鬼に金棒だ!
つながり:
三者とも中国国内でのリソースを共有しつつ、海外グループとも積極的に国際共著で勝負しているぞい
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Kin Fai Mak & Jie Shan(マックス・プランク研究所)
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最強2次元物質夫婦といえば、この2人。
TMD(遷移金属ダイカルコゲナイド)やモアレ物質の光学・輸送測定の先駆者だ。特にMoS₂などの単層TMDの谷偏極(valley polarization)を光学的に制御する研究、モアレTMDの強相関状態の発見などで世界をリードしている
Quantum Magazineの記事に描いてあった、モアレ物質を積層する大学院生の悲哀は一読だ!
代表論文:
Mak et al., Nature Materials 9, 1 (2010)(MoS₂の直接バンドギャップ発見)
多数のNature/Science掲載のモアレ物質論文
つながり:
Jarillo-Herrero御大(MIT)とは同じモアレ物性分野で最前線を走る関係。Andrea Young御大・Cory Dean御大 らコロンビア・UC Santa Barbara陣営とも協力・競争が激しい。
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Pablo Jarillo-Herrero(マサチューセッツ工科大学)
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凝縮物性世界を賑わすモアレ物性研究の火付け役、それがPablo Jarillo-Herrero御大だ!
2018年、マジックアングル(約1.1°)でツイストしたグラフェン二層(MATBG)で強相関絶縁体状態と非従来型超伝導を相次いで発見!これが「ツイストロニクス」と呼ばれる分野を一気に爆発させた。積層したグラフェンを少し回転させるだけで、銅酸化物顔負けの強相関物理が出てくるという衝撃の結果だ。Physics World 2018 年間最大ブレークスルー賞を受賞!
マジックアングルグラフェンのNature論文は、そろそろ1万引用、驚異的だな!
代表論文:
Cao et al. (Jarillo-Herrero), Nature 556, 43 (2018)(MATBGの超伝導発見、引用数1万超!)
Cao et al. (Jarillo-Herrero), Nature 556, 80 (2018)(MATBGの強相関絶縁体発見)
つながり:
コロンビア大ポスドクを経てMIT教授へ。MATBGの理論的な基盤を作った Allan MacDonald御大(UT Austin)と密接な関係。同じモアレ物質分野で Mak & Shan 御大・Dean御大・Young御大 と互いに刺激し合う存在だ。2024年にはClarivate Citation Laureateにも選出されノーベル賞候補筆頭格だ
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Philip Kim(ハーバード大)
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フィリップ・キム御大も2次元物質研究の大御所だ!
グラフェン黎明期から2次元物質の輸送測定をリードしてきたパイオニアだ。コロンビア大時代にグラフェンの量子ホール効果などを初期の重要論文として報告。最近はグラフェン・hBN・TMDなどのvan der Waals積層デバイスでの強相関・トポロジカル物理を精力的に推進している。
h指数が141(調査時点)、怪物だ!
代表論文:
グラフェンの量子ホール効果・ディラックフェルミオンに関する初期の重要論文群
つながり:
コロンビア大→ハーバード大へ。コロンビア大時代には後の Cory Dean御大・James Hone御大 らと同僚で、現在のコロンビア2D物質グループの礎を築いた。
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Cory R. Dean(コロンビア大学)
Andrea Young(カリフォルニア大学サンタバーバラ)
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| Google scholar |
他にも2次元物質研究は強豪研究者が揃っているぞ!
いま一番ホットな研究だな!
まあ、みなさんWatanabe & Taniguchi(NIMS、日本)の高品質hBN(六方晶窒化ホウ素)の上に乗っているというのが実情だが……。高品質hBNをゲート絶縁体や封止層として使うことでグラフェンなどの2D物質の移動度が桁違いに向上し、強相関・トポロジカル状態が観測可能になったぞ。
つながり:
コロンビア/UCSBの「西海岸・東海岸2D物質コンソーシアム」的存在。Jarillo-Herrero御大・Kim御大 とも競争・協力する関係で、モアレ物質ブームを牽引している。
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A P Mackenzie(セントアンドリュース大学)
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京都大の前野御大と並ぶ業界の第一人者だ!
Sr₂RuO₄の超伝導対称性(p波か否か?)は長年の論争で、Mackenzie御大はこの問題に正面から取り組んできたぞ。京大の前野御大と並ぶSr₂RuO₄研究の双璧だ!
まあ、ルテニウム酸化物超伝導自体は、まあ……今後に期待やね()。
代表論文:
Sr₂RuO₄の超伝導および正常状態物性に関する一連の論文
つながり:
京大の前野御大と長年の共同研究関係があるな
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Yulin Chen (陈宇林)(オックスフォード大学)
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スタンフォードのShen御大グループ出身(Shen御大とChen御大の共著論文が引用数3100超の超名作だ!)。トポロジカル物質のARPESで活躍し、Bi₂Te₃のトポロジカル絶縁体状態の確立に貢献したぞ
つながり:
師匠は Z.X. Shen御大(スタンフォード)。Z.X. Shen一門の中でも特に引用数の多い重要論文(Science 325)の主著者として知られるぞ
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I. R. Fisher(スタンフォード大学)
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トポロジカル、鉄系超伝導体、最近ではRTe3などの物質で面白結果を見出しているぞ!
弾性抵抗や弾性熱測定など、新しい測定手法を強相関電子系に適用している印象だ!
鉄系超伝導体のネマティック応答の研究の火付け役の一角だな!
代表論文:
Chu et al. (Fisher), Science 337, 710 (2012)(鉄系超伝導体のネマティック応答の測定)
つながり:
スタンフォードでは Z.X. Shen御大 と同じキャンパス。Chen御大の上述の論文(Science 325)も Fisher御大が共著者に入っているぞ。
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Jukka Pekola(アールト大学)
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マクスウェルの悪魔や、シザードエンジンといった、
熱力学の情報理論的側面を実験で検証するという、物理学の根本問題に挑戦しているぞ。これは強相関電子系というより量子熱力学の分野だが、超伝導量子回路が舞台だけあって隣接領域の研究者は要チェックだ!
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Joseph Checkelsky(マサチューセッツ工科大学)
| MIT |
トポロジカル物質の輸送測定などで面白結果を出しているのが、MITのCheckelsky御大だ!
理研、東大でも活躍していた日本にゆかりのある御大だ!
つながり:
師匠は N.P. Ong御大(プリンストン)で、輸送測定の伝統を受け継いでいるぞ
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| Google scholar |
銅酸化物の熱ホール効果など画期的な成果がたくさんだ!
ホームページには学生の博論ものっている。フランス語だから訳さないとだめだが、論文未発表の記載などもあっておもしろいぞ!
量子スピン液体の熱輸送は、うーん、まあ。。。
代表論文:
銅酸化物の熱ホール効果・量子振動に関する一連のNature Physics等の論文
つながり:
ケンブリッジのSebastian御大と量子振動×熱輸送で銅酸化物の謎を互いの測定で補完するような関係だな
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Sergey V. Borisenko(IFWドレスデン)
| Google scholar |
ドイツのARPES業界を代表する一人が、Sergey V. Borisenko御大だ!
ドレスデンのIFWが持つ独自のARPESビームラインを武器に、銅酸化物・鉄系・トポロジカル物質の電子構造を精力的に測定しているぞ
銅酸化物、鉄系、トポロジカル物質と注目物質の研究で覇を競っているぞ!
や放射光N1!
つながり:
ドイツARPESコミュニティの中核。Cava御大との共著でCd₃As₂(3次元ディラック半金属)実証論文(PRL 2014)も出しているぞ。
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Nuh Gedik(MIT)
| Google scholar |
物質の非平衡状態を研究する手法の1つがポンププローブ法を使った時間分解ARPESだ!
ポンプ-プローブ法とは、レーザーパルス(ポンプ)で物質を光励起した後、別のレーザーパルス(プローブ)でその後の状態を時間分解で追跡する手法だ。フェムト秒(10⁻¹⁵秒)のタイムスケールで電子系・格子系・スピン系の緩和過程を直接観測できるぞ!光誘起相転移の初期過程、電子-フォノン結合強度の直接測定など、これまで見えなかった動的な物理が見えてくるぞ。
その代表格がMITのN. Gedik御大だ。
光の戦士といえば、これからは光誘起測定だな!
つながり:
MITでは Jarillo-Herrero御大 と同僚だな
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Yoichi Ando(ケルン大学)
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銅酸化物、続いてトポロジカル物質、そして最近はそのデバイス応用の研究で活躍されているぞ!トポロジカルエレクトロニクス待ったなし!
元々は大阪大でも教鞭をとられていたぞ!なんで理学部じゃなかったんや!
Google scholarの写真、髭そられた?
代表論文:
トポロジカル絶縁体の輸送・デバイス応用に関する論文群
つながり:
大阪大→ISSP→ケルン大という経歴で、日独を繋ぐ存在だ
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Hidenori Takagi(マックス・プランク研究所)
| Google scholar |
強相関電子系の研究の第一人者の一人、電子系銅酸化物超伝導の発見者といえばこの方、マックス・プランク研究所ディレクターの高木英典先生だ!
Nd₂₋ₓCeₓCuO₄(電子ドープ銅酸化物超伝導体)の発見(1989年)から始まり、銅酸化物→鉄系→5d遷移金属化合物(イリジウム酸化物)→量子スピン液体(α-RuCl₃、Na₂IrO₃)→幾何学的フラストレーション系まで、強相関電子系のデパートと呼ぶにふさわしい研究の広さだ!
元々は東大、理研で研究を進められていたが、東大退官の前にドイツに移籍されたぞ!
代表論文:
Takagi et al., Phys. Rev. Lett. 62, 1197 (1989)(電子系銅酸化物Nd₂CuO₄の超伝導発見)
Kitaev材料・量子スピン液体に関する一連の論文
つながり:
東大→理研→MPI(ドイツ)という経歴で、日独を代表する存在。ドイツでは Keimer御大 とも近い関係で、 Davis御大 との共同研究も多いぞ。
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Yasutomo J. Uemura(コロンビア大学)
長く海外大学で研究を行われている日本人研究者のお一人として有名なのが、
μSRを使った強相関電子系、超伝導体研究の第一人者である植村先生だ!
μSR(ミューオンスピン回転)とは、加速器で生成したミューオンを物質中に停止させ、ミューオンの磁気モーメントが周囲の磁場によって歳差運動する様子から磁気状態を検出する手法だ。極低温・高圧・多様な物質に適用できる汎用性の高さが武器で、磁気体積分率や超流動密度を定量的に測定できる点で他の手法にない強みを持つのだ
超伝導転移温度と超流動密度の間に比例関係があることを見出した、Uemuraプロットで有名だ!Homes則と似ているが、微妙に違うから注意が必要だ!
新しい超伝導体を見つけたら、とりあえず植村プロットにのるかまずは確認だ!
代表論文:
Uemura et al., Phys. Rev. Lett. 62, 2317 (1989)(Uemura則の提唱)
つながり:
コロンビア大で Basov御大 と同じキャンパス。カナダのTRIUMFが拠点だな!
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平衡状態だけが物性じゃない!光を当てて電子状態を制御しよう!
そんな光誘起物性の強豪研究者といえば、独マックス・プランク研究所のAndrea Cavalleri御大だ!
銅酸化物やフラーレンの光誘起超伝導なら任せろ!
テラヘルツ光パルスで銅酸化物やフラーレンの格子振動(フォノン)を選択的に励起することで、非平衡状態での超伝導的な応答(光誘起超伝導)を引き起こすというド派手な実験が売りだ!室温での光誘起超伝導の兆候まで報告していて業界を騒がせているぞ。最近は光誘起マイスナー効果の測定まで行い、光で超伝導体を操る研究の最先端を走っているぞ。
代表論文:
Fausti et al. (Cavalleri), Science 331, 189 (2011)(フラーレン系の光誘起超伝導)
銅酸化物の光誘起超伝導・光誘起マイスナー効果に関するNature/Scienceの複数論文
つながり:
MPI内では Keimer御大 と近い関係。光誘起物性では N. Gedik御大(MIT)と分野的に近いな!
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