大学別の学振採用者数って気になりますよね
【イントロ】
春の科学研究費(科研費)[1]、秋の学術振興会特別研究員(学振)[2]の発表は多くの人の関心を集める一大イベントです。気になるその採用状況ですが、全体の採択率などの情報は日本学術振興会HPで公開されています。一方で、各大学別の採用者数といった情報は、どうなっているのか興味があるもののまとまった形では報告されていません。
そこで本記事では、大学別の学振採用者数を公開情報を使って明らかにすることを目的としました。つまり、興味本位です。
【方法】
日本学術振興会の学振採用者一覧ページ[2]に掲載されている平成25年度から平成29度までのDC1、DC2採用者の出身大学をExcelを使って集計しました。特に、著者が数物系分野出身ということもあり、集計は「数物系科学」分野のみに絞りました。また、採用者の「受入研究者」も同時に集計することで、最も学振採用者の多い研究室も調べました。
具体的な手法は、ダウンロードしたpdfファイルを1つずつ開いて、該当部分をコピーしExcelファイルに貼り付け、ピポットテーブル機能を使用し集計を行いました。作業時間はおよそ4時間です。「一体自分は休日に何をしているんだ。。。」という思いとの戦いでした。pdfファイルは項目内に改行がある仕様で、Excelに貼り付けるのに苦労しました(もうちょっとなんとかなって欲しい。。。)。後半、「pdfをWordで開く」と少しコピペがしやすくなることに気づきましたが、もっと早く気づきたかったです。
【結果】
大学別の学振採用者数の集計結果が図1です。
圧倒的東大。。。2位の京大に2倍以上の差をつけて、東大が採用者数で圧倒的1位です。この期間の数物系分野学振採用者1388人内30%が東大所属ということになります。
また、旧帝7大学の採用者が1008人で、全体の73%を占めています。すごい。
一方で、5年間で1人しか採用されていない大学もありますが、その学生の傑出度が伺い知れます。すごい。
次に、図2が受入研究者別の採用者数です。
上田先生(東大)、十倉先生(東大)、中家先生(京大)といった錚々たる先生たちが上位に顔を揃えています。やはりすごい先生の元にはすごい学生さんがたくさん集まるのでしょうか?すごい。
【まとめ】
研究環境が(相対的に)恵まれた旧帝在籍博士課程学生が良い申請書を提出し学振採用され、良い研究成果を出し、それが科研費につながり、さらに研究環境が改善し、優れた申請書のサンプルとともに後輩に受け継がれていく・・・といった良い循環が生じていることが伺えます。
今回の調べ残しとしては、各大学の申請者に対する採用者の割合があります。これには各年度の各大学の申請者数の情報が必要ですが、残念ながら見つけることができませんでした。しかし、公開されている京大の申請状況[3]から、採用者数上位の大学では採用率が平均より高いことが推定されます。こちらの検証は今後の課題です。
【参考文献】
[1] 科学研究費助成事業HP https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/
[2] 日本学術振興会 特別研究員HP https://www.jsps.go.jp/j-pd/
[3] 日本学術振興会特別研究員制度説明会(京大) http://research.kyoto-u.ac.jp/files/6114/8905/0421/H30seidosetsumeikai_DC_bunkei.pdf
春の科学研究費(科研費)[1]、秋の学術振興会特別研究員(学振)[2]の発表は多くの人の関心を集める一大イベントです。気になるその採用状況ですが、全体の採択率などの情報は日本学術振興会HPで公開されています。一方で、各大学別の採用者数といった情報は、どうなっているのか興味があるもののまとまった形では報告されていません。
そこで本記事では、大学別の学振採用者数を公開情報を使って明らかにすることを目的としました。つまり、興味本位です。
【方法】
日本学術振興会の学振採用者一覧ページ[2]に掲載されている平成25年度から平成29度までのDC1、DC2採用者の出身大学をExcelを使って集計しました。特に、著者が数物系分野出身ということもあり、集計は「数物系科学」分野のみに絞りました。また、採用者の「受入研究者」も同時に集計することで、最も学振採用者の多い研究室も調べました。
具体的な手法は、ダウンロードしたpdfファイルを1つずつ開いて、該当部分をコピーしExcelファイルに貼り付け、ピポットテーブル機能を使用し集計を行いました。作業時間はおよそ4時間です。「一体自分は休日に何をしているんだ。。。」という思いとの戦いでした。pdfファイルは項目内に改行がある仕様で、Excelに貼り付けるのに苦労しました(もうちょっとなんとかなって欲しい。。。)。後半、「pdfをWordで開く」と少しコピペがしやすくなることに気づきましたが、もっと早く気づきたかったです。
【結果】
大学別の学振採用者数の集計結果が図1です。
図1 大学別の学振採用者数 |
また、旧帝7大学の採用者が1008人で、全体の73%を占めています。すごい。
一方で、5年間で1人しか採用されていない大学もありますが、その学生の傑出度が伺い知れます。すごい。
次に、図2が受入研究者別の採用者数です。
図2 受入研究者別の学振採用者数 |
【まとめ】
研究環境が(相対的に)恵まれた旧帝在籍博士課程学生が良い申請書を提出し学振採用され、良い研究成果を出し、それが科研費につながり、さらに研究環境が改善し、優れた申請書のサンプルとともに後輩に受け継がれていく・・・といった良い循環が生じていることが伺えます。
今回の調べ残しとしては、各大学の申請者に対する採用者の割合があります。これには各年度の各大学の申請者数の情報が必要ですが、残念ながら見つけることができませんでした。しかし、公開されている京大の申請状況[3]から、採用者数上位の大学では採用率が平均より高いことが推定されます。こちらの検証は今後の課題です。
【参考文献】
[1] 科学研究費助成事業HP https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/
[2] 日本学術振興会 特別研究員HP https://www.jsps.go.jp/j-pd/
[3] 日本学術振興会特別研究員制度説明会(京大) http://research.kyoto-u.ac.jp/files/6114/8905/0421/H30seidosetsumeikai_DC_bunkei.pdf
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