4月の気になった物理系記事
4月の気になった物理系記事です。
- 界面を通したパラマグノン注入でd波超伝導を制御する
https://journals.aps.org/prl/accepted/ee076Y04X1a1c55528df0fe0dce55cbc5a582edf7
コメント:重い電子系人工超格子を工夫して、CeCoIn5にパラマグノンを注入することで、d波超伝導を制御した研究。能動的に強相関電子系を制御しようとする試みが面白いですね。 - PrOs4Sb12の時間反転対称性の破れた超伝導
https://journals.aps.org/prl/accepted/cf072Y93Jb31a758c15541242dda9fc9390c64cdb
コメント:超伝導転移温度以下でカー効果測定することで、PrOs4Sb12で時間反転対称性が破れていることを明らかにした研究。カー効果有能ですね、実験大変そうですけど。 - 光で単層FeSe/STOのQSH-QAH転移を制御する
https://journals.aps.org/prl/accepted/9707bY16Z241416bc03f86645694c41b6940df123
コメント:単層FeSe/STOにレーザーを照射することでバンド反転とQSH-QAH転移を起こそうという研究。磁性原子ドープ無しでマヨラナ粒子探索できるかもって提案だけど、そもそも単層FeSe/STOでQSHが観測されてたことに驚きました(無知 - 112タイプ鉄系超伝導体の中性子共鳴ピーク
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.137001
コメント:112タイプの鉄系超伝導体(Ca,La)(Fe,Ni)As2系の中性子散乱実験から共鳴ピークを観測した研究。112系はs??波超伝導なんだろ?。結晶構造違うし、他の系とのユニバーサルな関係がどこまであるのか含めて気になります><。ネマテシティとかどうなってんの>< - YBCOの圧力下ホール効果測定で見るCDW
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.117002
コメント:圧力下ホール抵抗の測定からYBCOのホール濃度0.12付近のTcの落ち込みはCDWと関係ないのではと提案している論文。じゃあなんでなんだぜ。。。 - CdEr2X4に見られる創発磁気モノポールのクーロンガス
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.137201
コメント:スピンアイスの励起は磁気モノポールのように振る舞う。CdEr2X4の磁気モノポールを交流磁化率測定と中性子エコー分光により調べた研究。スピンアイスとかモノポールとか楽しそう。 - 3次元相互作用フェルミオンのトポロジカル相の完全分類
https://journals.aps.org/prx/abstract/10.1103/PhysRevX.8.011055
https://journals.aps.org/prx/abstract/10.1103/PhysRevX.8.011054
コメント:相互作用する3次元フェルミオンのトポロジカル相をスーパーコホモロジーとかの数学的手法をもちいて分類した研究。こういう研究、辞書的に引用されて伸びる印象がある。 - RIXSでみるCaRuO3のスピン軌道励起
https://journals.aps.org/prx/abstract/10.1103/PhysRevX.8.011048
コメント:CaRuO3のRIXSでスピン軌道励起を観測した研究。RIXS、いまどれくらいの分解能なんだろう? - UNi4Bにおける電流誘起磁化
http://journals.jps.jp/doi/full/10.7566/JPSJNC.15.02
コメント:UNi4Bのトロイダル磁気秩序を反映して、特定方向に電流を流すと別方向に磁化が発生することを明らかにした研究。理論と矛盾する点もあるらしく興味深い現象だなぁ。 - ファンデルワールス反強磁性体NiPS3に見られる強い電荷-スピン結合
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.136402
コメント:エリプソメトリ、X線吸収、光電子分光からNiPS3の磁気転移に伴う電子状態の変化を明らかにした研究。とりあえず光学伝導度がのってるPRLをみつけるとテンション上がる。 - 磁性トボロジカル絶縁体における2成分異常ホール効果
https://www.nature.com/articles/s41467-018-03684-0
コメント:はじめてMn置換Bi2Se3で異常ホール効果を観測した研究。Mn置換量によりAHEの符号反転と成分共存が生じることを明らかにしている。盲点を突いた感じがある。 - バイレイヤーグラフェンにおける分数チャーン絶縁体
http://science.sciencemag.org/content/360/6384/62
コメント:BNにわずかに傾けてバイレイヤーグラフェンをおきポテンシャルを変調させることで、分数チャーン絶縁体を実現した研究。斜に構えるのもたまには大切ですね。 - 古典的人工スピンアイスが示すトポロジカル秩序
https://www.nature.com/articles/s41567-018-0077-0
コメント:Shakti spin iceと呼ばれる人工スピンアイスモデルがトポロジカル秩序を示すことを明らかにした研究。こういうのもすごいけど、実際の物質で見つかった欲しいというワガママがある。 - 弱い信号が雑音で強調される仕組み
https://phys.org/news/2018-04-noise-sensitivity-weak.html
コメント:信号がノイズで強調されるストカスティック共鳴を2状態モデルをつかって説明した研究。トヨタも絡んでるみたいだから何か実用的なデバイスに使うつもりなのかな? - フォノンだってスピンがある
https://www.nature.com/articles/s41567-018-0079-y
コメント:YIGに不均一磁場を印加することでマグノンをスピンをもったフォノンに変換することに成功した研究。たしかにフォノンのスピンて聞いたことないから、目の付け所がおもしろい。フォノンスピントロニクスが出てくるかな? - 銅酸化物の超伝導コヒーレンスを壊す
https://www.nature.com/articles/s41563-018-0045-1
コメント:Bi2212の時間分解光電子分光で超伝導ペアリングの強さは変えずに凝縮体だけ溶かした研究。銅酸化物の非平衡状態の分光研究、ヒッグスモード含めて流行ってる感じがするな。室温超伝導への道筋がいつかみえるかな? - カリウム添加でペロブスカイト太陽電池の変更効率・安定性が向上
https://news.mynavi.jp/article/20180404-610807/
https://www.nature.com/articles/nature25989
コメント:「添加されたヨウ化カリウム成分は、ペロブスカイト層の表面で自己組織化して、「修飾層」と呼ばれる薄膜を形成する。この修飾層にはペロブカイトの結晶欠陥を修復する効果」で電子の移動度が向上し変換効率向上したとのこと。おれもお肌にカリウム塗るか~ - 単層WSe2の両極性ランダウ準位マッピング
https://www.nature.com/articles/s41563-018-0036-2
コメント:単一電子トランジスターをつかって単層WSe2の両極性ランダウ準位マッピングを行った研究。一粒子モデルで説明できない振る舞いで、単層TMDの多体効果を真面目に考えないといけないとのこと。電子相関は大切>< - 磁性絶縁体を用いてグラフェンのスピンの向きを制御
https://research-er.jp/articles/view/69535
コメント:「グラフェンのスピンはYIGのスピンと相互作用しており、YIGのスピンの向きに応じてグラフェンのスピンの向きを自在に操作できる」ことを明らかにした研究。スピン偏極ヘリウムビーム測定、表面測定に威力があってすごい。 - 金属の磁性を電界で制御するためのミクロなメカニズム
https://research-er.jp/articles/view/69477
コメント:「電界によるPtの電子構造と磁性の変化が、フェルミ準位の変位および軌道混成の変化というPt内部の電子状態の変化を引き起こすミクロなメカニズムから生じている」ことを明らかにした研究。電気二重層で電界かけながらXMCDとかXASできるんだ(まなび - 原子層TMDのエキシトン
https://journals.aps.org/rmp/abstract/10.1103/RevModPhys.90.021001
コメント:原子層TMDにみられるエキシトンのレビュー。最近流行りなのかな?どのへんがおもしろいんだろう。 - 非エルミートハミルトニアンのトポロジカルバンド理論
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.146402
コメント:非エルミートハミルトニアン、例外点とか含めてわかりやすい解説をよんでみたいとおもいました(こなみ - トポロジカルノーダルライン半金属のSdH振動で見られる位相シフト
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.146602
コメント:トポロジカルノーダルライン半金属のSdH振動で見られる位相シフトが実験によってマチマチな原因を理論的に調べた研究。磁場の方向、キャリアの種類、フェルミ面の断面積でいろいろ変わってしまうらしい。慎重な解析が必要ということですね。(よくしらない - LAO/STO界面の超伝導は1次元的
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.147001
コメント:LAO/STO界面の伝導パスの数を変えながら超伝導特性を調べた研究。
界面の超伝導は一次元的らしい。メカニズムはなんなんだろう?フォノン? - BiFeO3のサイクロイダルドメインと電気分極を磁場で制御する
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.147203
コメント:小角中性子散乱で、BiFeO3のマルチフェロ性を調べた研究。磁気異方性と分極の結合を考慮した新しい理論を提唱しているとのこと。新しい実験結果が新しい理論を生み出すのは面白いですね。 - (Cu,Li)FeAsの電子相図
https://journals.aps.org/prb/abstract/10.1103/PhysRevB.97.134503
コメント:あぁ~Liを置換すればよかったのかぁ。でも、取扱難しいしなぁ。NaをいれてCuFeAs-NaFeAsの間の電子相図も埋めて欲しい。ソッチのほうが気になる。あと、ネマティシティとかどうなっての? - Ti2O3の絶縁体金属転移の起源はc軸方向のダイマー形成
https://journals.aps.org/prx/abstract/10.1103/PhysRevX.8.021004
コメント:硬X線光電子分光と軟X線吸収分光からTi2O3のc軸方向のTi-Tiダイマー形成を明らかにした研究。これが金属絶縁体転移の原因かもとのこと。簡単な物質から新しい物理がでてくるのたのしい。 - Pb超薄膜の界面誘起ゼーマン保護超伝導
https://journals.aps.org/prx/abstract/10.1103/PhysRevX.8.021002
コメント:Si(111)基板上に作った少数層Pb超薄膜がゼーマン保護超伝導を示すことを明らかにした研究。面内反転対称性が破れているのが鍵らしい。ゼーマン保護超伝導、TMDだけじゃないのね。 - Pt薄膜の電界誘起強磁性と近藤効果
http://advances.sciencemag.org/content/4/4/eaar2030
コメント:常磁性イオンゲート法を利用してPt薄膜表面に強磁性を誘起した研究。電気抵抗測定から近藤効果も観測されたらしい。常磁性イオンゲート法とは一体。。。 - 機械学習で強誘電体の相図をつくる
http://advances.sciencemag.org/content/4/3/eaap8672
コメント:ピエゾ分極の測定と機械学習で、秩序パラメータの測定なしに強誘電体の相図を決める研究。機械学習使いこなしたいよぉ~。 - トポロジカル半金属のスピン3/2超伝導
http://advances.sciencemag.org/content/4/4/eaao4513
コメント:バンド計算、SdH振動、磁場侵入長測定からハーフホイスラー金属YPtBiがスピン3/2超伝導を示すことを明らかにした研究。薄膜とか界面じゃないから他のグループも参入できそう。別の測定手段による検証に期待ですね。 - 時間領域の準結晶、電子相関https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.140401
コメント:準結晶や多体電子相関を時間領域で実現する時間結晶の研究。時間領域の準結晶ってなんやねん。。。 - FeGeの新型磁気励起”カイラルボバー”
https://www.nature.com/articles/s41565-018-0093-3
コメント:スキルミオンが見られるFeGeにおいて、新型励起カイラルボバーを電子ホログラフィ測定で見つけた研究。FeGeは相図もサンプルに依存してしまうらしいし、奥が深い。 - 情報量は宇宙トンネルの断面積
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/180403_3.html
コメント:「物体Aと物体Bの二つの間に共有される量子ビットの情報量(相関)は、物体に対応する宇宙の最小断面積に等しい」という笠ー高柳公式を「AとB以外にも熱浴などの物体が存在する場合(混合状態)」に拡張し、「AとBの間に共有される量子ビットの情報量(相関)は、AとBをつなぐトンネルの最小断面積に等しい」ことを証明した研究。わかる(わからん - 電荷版SQUID、CQUID
https://www.nature.com/articles/s41567-018-0097-9
https://phys.org/news/2018-04-quantum-device-standards-electrical-current.html
コメント:超伝導体の位相を利用した超伝導量子干渉デバイスSQUIDの対となる電荷量子干渉デバイスCQUIDの元となる、乱れた超伝導体中のコヒーレンス量子位相スリップを観測した研究。新しい量子電流水準に利用できるかもとのこと。すごそう(こなみ - 超一般化中心極限定理
https://research-er.jp/articles/view/69418
コメント:「現代のビッグデータでは、個々に異なるべき則分布の和においても、ある基本形のべき則(レビの安定分布)になるという現象」を説明する超一般化中心極限定理を証明した研究。中心極限定理、一般化できる内容だったんですね(無知 - 厚膜 Ca1-xSrxVO3 (CSVO) 薄膜の金属絶縁体転移
https://research-er.jp/articles/view/69433
コメント:金属SVOは薄膜にすることで絶縁体化するが、薄すぎて実用的ではない。CSVO薄膜を利用することでコレまでの10倍の50nmで金属絶縁体転移を観測した研究。基板の歪みによるVの価数異常が原因とのこと。V酸化物やはりおもしろいな。 - ペロブスカイト太陽電池の新素材「有機・無機ハイブリッド正孔輸送材料」
https://research-er.jp/articles/view/69632
コメント:「高活性有機低分子と安定性に優れた無機塩を併せ持つ、「有機・無機ハイブリッド正孔輸送材料」」、「BDPSO」を開発した研究。「正孔輸送材料の機能安定性を大幅に向上させることに成功し、完成した太陽電池の寿命も大きく向上」したとのこと。ペロブスカイト太陽電池の研究も活発だなぁ。 - 量子乱流のユニークな構造
https://research-er.jp/articles/view/69648
コメント:「複雑でしばらくは不可能と考えられていた、超流体が量子乱流を作る状態における二流体モデルの大規模数値計算を実現」した研究。「「乱流は渦からなる」という 500 年前のダ・ヴィンチのアイデアを検証」とのこと。アッハイ。 - 超流動準結晶
https://phys.org/news/2018-04-solid-physicists-state.html
コメント:超流動体が準結晶構造を取ることが可能か理論的に検証した研究。実用的な条件で実現できることを示している。実験での検証が待たれるけど、超流動準結晶とはもはやよくわからない物質ですね。 - 巨大ラシュバ-スピンセーベック効果
https://phys.org/news/2018-04-harnessing-rashba-spin-seebeck-effect-phenomenon.html
コメント:NiFe/p‐Si (polycrystalline) bilayer薄膜で巨大ラシュバスピンセーベック効果を観測した研究。観測されたスピンゼーベック係数と電圧は過去最高とのこと。熱電素子界のブレイクスルーとなるのかな - 水素化アクチノイドの超伝導
https://phys.org/news/2018-04-scientists-link-superconductivity-periodic-table.html
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jpclett.8b00615
コメント:水素化アクチノイドが200GPa程度の高圧で200Kクラスの超伝導転移温度を示すことを示した理論研究。高圧を自在に制御できる技術が必要でわ。 - Fe/III-V族窒化物薄膜における巨大垂直磁気異方性
http://advances.sciencemag.org/content/4/3/eaar7814.full
コメント:垂直磁気異方性はスピントロニクスへの応用が期待されるが、エネルギースケールが1meV程度なのが問題だった。Fe/III-V族窒化物薄膜の場合、24.1~53.7meV程度を示しすごい。従来の二次のスピン軌道相互作用摂動ではなく一次摂動が重要とのこと。 - 人工知能で金属ガラスの探索を高速化
https://phys.org/news/2018-04-artificial-intelligence-discovery-metallic-glass.html
http://advances.sciencemag.org/content/4/4/eaaq1566
コメント:これまでの観測データに基づいて、Co-V-Zr金属グラスの物性を機械学習により探索し、発見を200倍高速化した研究。いつも思うけど、機械学習の予測域外から未知の現象をもつ新しい物質が見つかったら機械学習の価値ってどこにあるんだろう。既存物性の改善だけ? - スーパーショットキーダイオード
https://www.nature.com/articles/s41598-018-23882-6
コメント:GaN薄膜上にYBCOを形成し、超伝導ー半導体接合を形成した研究。強い非線形I-V特性をしめすスーパーショットキーダイオード、一体どんな応用があるんだろう(´・ω・`)? - La0.67Ca0.33MnO3のポーラロン凍結と量子液体結晶相
https://www.nature.com/articles/s41535-018-0093-4
コメント:巨大磁気抵抗を示すLa0.67Ca0.33MnO3が極低温で量子液体-結晶相を示すことをことをNMRにより明らかにした研究。Mn酸化物でもまだ未知の現象が見つかるんだなぁ。 - レアアース置換CaFe2As2に電流を流して超伝導特性を制御する
https://www.nature.com/articles/s41427-018-0030-9
コメント:レアアース置換CaFe2As2に電流を流すことで、超伝導転移幅を制御できることを明らかにした研究。あいかわらず闇の深い物質だ。 - TMDのイジング超伝導を膜厚で制御
https://www.nature.com/articles/s41467-018-03888-4
コメント:代表的な原子層TMD、2H-TaS2 と 2H-NbSe2のイジング超伝導を単層から少数層まで変化させて特性を調べた研究。スピン軌道相互作用が上部臨界磁場の決定に重要らしい。イジング超伝導、普通の超伝導とどう違うんだろう。 - LTO/STO界面におけるラシュバ型スピン分裂
https://www.nature.com/articles/s41467-018-04014-0
コメント:スピントロニクスに利用される物質は磁場によるスピン分裂が必要とされる点が課題。磁場を使わない手段として空間反転対称性の破れを利用したラシュバスピン分裂が別の手段となる。LTO/STO界面で巨大なラシュバスピン分裂を観測した研究。界面はいろんな現象がおきるなぁ。 - 情報処理に必要な最小のコストとは?
https://journals.aps.org/prx/abstract/10.1103/PhysRevX.8.021011
コメント:任意の熱浴に接した任意のハミルトニアンに対して情報処理に必要な最小の仕事を与える理論を提案する研究。マクスウェルの悪魔がスーツ姿で大変そう。 - 磁場にすごく敏感なFe置換Li3N
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.147202
コメント:希薄Li2(Li1-xFex)N(X~0.001)にわずか数ミリTの縦磁場をかけると4桁程度スピン緩和時間が伸びることを明らかにした研究。液体ヘリウム温度での磁化の量子トンネル効果研究が進むかもとのこと。めっちゃ敏感だ。 - LNSCOの電荷秩序による集団ダイナミクスとピニング効果
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.156602
コメント:LNSCOの非平衡電荷輸送特性から、電荷秩序転移に伴う揺らぎ秩序の証拠をとらえた研究。銅酸化物の電荷秩序はまだまだ謎が多くてやりがいがありますね。 - 空間反転対称性のない系における反強磁性チャーン絶縁体
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.157205
コメント:電子相関により生まれる新しいタイプのトポロジカル相、反強磁性チャーン絶縁体の理論研究。候補物質とか冷却原子での実現とか提案してくれてるとこがいいですね、。チャーン絶縁体ってどういうことかよくわかってない。 - TEMの情報を余すとこなくつかう
https://physics.aps.org/synopsis-for/10.1103/PhysRevLett.120.156101
コメント:これまでのTEMは位相の情報を失ってしまうという課題があった。軸外電子ホログラフィという新手法とシミュレーションを組み合わせ、原子分解能のTEMを実現した研究。WSe2の僅かな結晶の歪とかが直接観測できたとのこと。TEM、まだ分解能上げる余地がたくさんあるんですね。 - グラフェンを引っ張って電子を局在させよう
https://physics.aps.org/synopsis-for/10.1103/PhysRevLett.120.156405
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.156405
コメント:各層を独立に歪ませるヘテロ歪と呼ばれる手法を導入し、グラフェンの電子状態を制御した研究。グラフェンを回して乗せるだけじゃなくて歪ませて電子制御させるとは、グラフェンちゃんはいいように使われてますね。ほかの物質でも期待。 - 新型Na-Siクラスレートが超伝導を示す
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.157001
コメント:新型Na-Siクラスレートが超伝導を示すことを理論的に予測した研究。10K程度の転移温度らしく割と高い。Naをいれたり入れなかったり、いろんな物質ができそう。 - ホログラフィーとツイスター理論を結びつける新たな数学
https://research-er.jp/articles/view/69847
コメント:高次スピン重力理論に関する研究らしいが、プレスリリースの文章がおしゃれ過ぎてよくわからんマン。 - 電子に強烈な影響を与える偏光
https://research-er.jp/articles/view/69848
コメント:「電子とマイクロ波の両方の場が、同方向に回転すると、偏光の効果が最も強くなると予想する事は当然であり、回転の方向が反対であれば、効果がかなり減少すると考えるのは、自然でしょう」という予想を裏付けた研究。固体中では難しいので不純物のないヘリウム表面上の電子を操作したことが重要らしい。固体は汚い、ほんと汚い。 - 磁場中で逆回転する電子と電磁波の一体化を実証
https://research-er.jp/articles/view/69865
コメント:「電子と電磁波を従来よりも高く協同させられる試料と電磁波の共振器を作成することで、電子とは逆回転する電磁波が共振する回転速度が、電子との結合によってずれることを検出」した研究。ノイズの影響を受けない電子を作り出し量子コンピュータに応用できるらしい。ほんとかな? - 情報不可弁別性の原理
https://research-er.jp/articles/view/69911
コメント:「量子コンピュータの情報単位となる量子ビットのもつれに注目し、量子ビットが、実質上、区別できないことを原理として導入することで影響の上限を説明できる」ことを明らかにした研究。光速度不変の原理だけでは量子もつれの強さの上限を説明できないので新たな原理を導入したとのこと。他の原理から同様の主張は導けないということかな? - 電圧による局所的な磁化反転
https://research-er.jp/articles/view/69941
コメント:「金属の磁石の薄膜を加工して細線化した素子を用い、狙った箇所に絶縁層を介して電圧を加えるだけで、その部分の磁化だけを反転(反転磁区を導入)できることを世界で初めて室温で実証」した研究。磁性の電場制御、夢と応用があっていいですね。 - アト秒パルス光源を用いた世界最高速の電子振動現象の観測
https://research-er.jp/articles/view/69944
コメント:「Cr:Al2O3において、光を照射した際に、アト秒(10-18 秒:100 京分の 1 秒)周期で振動する電子運動の観測に世界で初めて成功」した研究。アト秒の次、サブアト秒の研究もそのうちでてくるかな? - 遷移金属カルコゲナイドの図書館
https://research-er.jp/articles/view/69945
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0008-3
コメント:「CVD法を用いるが、遷移金属源に塩(NaCl、KI)を添加して溶融させ、キャリアガスでカルコゲン源を供給することによって、これまで作製が困難であった多種多様な遷移金属カルコゲナイドの単原子膜をシリコン基板上に直接合成・成長」させた研究。五元素系遷移金属ダイカルコゲナイドとか合成してて、たしかにコレはNature級と思いました。どんな物性見つかるかな? - データサイエンスで効率的に全固体電池材料の最適化予測に成功
https://research-er.jp/articles/view/69958
コメント:「高精度材料シミュレーションとデータサイエンスの手法を組み合わせることで、効率的にイオン導電性を最大化するような最適組成を決定するスキームを開発」した研究。従来より2~3倍効率的に探索できるらしい。全固体電池の実用化が待たれますね。 - 高エントロピー合金効果に着目した 層状BiS2超伝導体の開発
https://research-er.jp/articles/view/69960
コメント:「REO0.5F0.5BiS2 に着目し」「RE=La0.2Ce0.2Pr0.2Nd0.2Sm0.2」としたら超伝導転移温度が上昇した研究。混ぜ過ぎでは( ;・`д・´)ゴクリ - Cr2O3におけるスピン超流動の兆候
http://advances.sciencemag.org/content/4/4/eaat1098
コメント:スピン1ボソンのBECが示すスピン超流動の兆候である長距離非局所スピン伝搬をCr2O3で観測した研究。スピンジョセフソン結合誕生するかな? - 単一量子化エキシトンポラリトンの観測
http://advances.sciencemag.org/content/4/4/eaao6814
コメント:これまで古典的、平均場的にしか扱われてこなかったポラリトンを、単一粒子としてはじめて観測に成功したとのこと。共振器の量子物理も日々進化してますね。 - 大きなバンドギャップ、ディラック電子をもつ量子スピンホール絶縁体
http://advances.sciencemag.org/content/4/4/eaap7529
コメント:室温量子スピンホール絶縁体を示す物質として、多層ギャップ崩壊半導体量子井戸、InAs/GaSb QWsを提案する理論研究。実際の物質での観測が待たれますね。 - 表面プラズモンポラリトンのBEC
https://www.nature.com/articles/s41567-018-0109-9
コメント:金属ナノ粒子配列表面上でプラズモンBECを室温で実現した研究。超高速応答、室温動作、チップ上動作を活かした新しいデバイスを期待。 - 強誘電体リラクサーの焦電効果を用いた熱エネルギー変換
https://www.nature.com/articles/s41563-018-0059-8
コメント:強誘電体0.68Pb(Mg1/3Nb2/3)O3–0.32PbTiO3の焦電効果を利用して熱エネルギー変換を実現した研究。T=10KでZT=1.16くらいの性能らしい。焦電効果と熱電効果を勘違いしてしまった。 - 超伝導純スピン流
https://www.nature.com/articles/s41563-018-0058-9
コメント:従来スピンポンピングに利用される強磁性共鳴は超伝導転移温度以下で減少することが知られている。そこで、巨大なスピン軌道結合を持つ物質をスピン浴層として強磁性共鳴をおこなうと超伝導転移温度以下で信号が増強されることを発見した研究。三重項純スピン超伝導流の兆候とのこと。超伝導とスピントロニクスのくみあわせ面白いですね。 - Bi2212上の単層CuO2は超オーバードープ状態?
https://arxiv.org/abs/1804.05072
コメント:Bi2212上の単層CuO2をSTMでみると、ノードレスな超伝導を示すことが知られている。これを、Bi2212からCuO2への電荷移動に伴う超オーバードープにより、従来の銅酸化物の超伝導相とは違う新しい超伝導相がみえていると解釈する理論研究。そもそも従来銅酸化物にEDLTとか使ってもっと電子ホールドープできないのかな?気合足りない? - LaTiO3/SrTiO3界面の巨大ラシュバタイプバンド分裂
https://www.nature.com/articles/s41467-018-04014-0
コメント:スピントロニクスにはスピン分極が必要だが、これには従来磁場が必要である。LaTiO3/SrTiO3の界面に巨大ラシュバスピン分裂が生じておりこれを利用しようという研究。磁場輸送特性でココまでいろんなこと言えるんだなぁ。 - 三角格子量子スピン液体のスピン-格子分離
https://www.nature.com/articles/s41467-018-04005-1
コメント:スピン1/2の有機三角格子反強磁性体の磁気熱容量測定から、量子スピン液体ではスピンが格子と相互作用がしていないことを明らかにした研究。スピン励起がギャップレスであるっことを示唆しているとのこと。量子スピン液体はいろいろ不思議な性質示しますね。 - 人工二次元極性金属超格子
https://www.nature.com/articles/s41467-018-03964-9
コメント:極性金属が二次元でも存在できるかは明らかではなかったが、二次元極性金属超格子、BaTiO3/SrTiO3/LaTiO3超格子を作りそれを証明した研究。強誘電性、強磁性、超伝導性を併せ持つ非中心対称な二次元金属作製への道がひらかれたとのこと。人工超格子、いろいろ作れるなぁ。 - BECの膨張、宇宙開闢時の膨張に似てるやん?
https://physics.aps.org/synopsis-for/10.1103/PhysRevX.8.021021
https://phys.org/news/2018-04-atoms-tune-grand-cosmic-symphony.html
コメント:Na23のBECをレーザートラップに閉じ込めて、閉じ込め半径を大きくしていくとその膨張は宇宙初期の膨張に似てるやん?という研究。そう。。。 - InOxの異常な金属相
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.120.167002
コメント:アモルファスInOx薄膜の超伝導相を磁場で潰すと、サイクロトロン共鳴を示さない非フェルミ液体的な金属相が出現することを明らかにした研究。謎金属相だ。 - ペロブスカイト太陽電池に光を当てると結晶格子がきれいに揃う
https://news.mynavi.jp/article/20180420-619530/
コメント:「ぺロブスカイト太陽電池に光を照射すると、膨張によって結晶格子の歪みが取り除かれて、きれいに揃う効果があることを発見」した研究。変換効率が少し改善するらしい。光の力は偉大だ。 - レーザーで磁石に書いたり消したり
https://phys.org/news/2018-04-deleting-magnets-lasers.html
コメント:Fe-Al合金薄膜にレーザーを照射することで、原子の配列を操作し、磁性を生成消滅を行った研究。ストレージとかに使えるのかな? - 1T-TiSe2の擬ギャップは超伝導の前駆現象
https://phys.org/news/2018-04-density-inhomogeneity-pseudogap-1t-tise2.html
コメント:1T-TiSe2のSTM/STSによりCDWギャップより小さなギャップを新たに発見し、それが温度低下とともに超伝導コヒーレンスピークに変化していくことを明らかにした研究。いろんな擬ギャップ、みんなちがってみんないい。。。 - 光で絶縁体から伝導体へ、一瞬で
https://phys.org/news/2018-04-insulator-conductor.html
https://www.nature.com/articles/s41566-018-0129-0
コメント:高次高調波による強相関電子系の光誘起相転移にともなう多体電子ダイナミクスの時間分解光電子分光を実現した研究。非平衡状態の多体電子現象、なにかおもしろい現象が見つかると良いな。 - ネマティック揺らぎのない鉄系超伝導体
https://arxiv.org/abs/1804.06963
コメント:CaKFe4As4の電子ラマン測定から他の鉄系では見られるネマティック揺らぎが観測されなかった研究。ネマティック性の存在価値とは。。。 - 超高速アインシュタイン-ドハース効果
https://arxiv.org/abs/1804.07159
コメント:「金属強磁性体の高強度レーザーによる消磁にともない、スピンはどこへ消えたか?」をフェムト秒時間分解X線回折実験により明らかにした研究。サブピコ秒の時間スケールで、スピン角運動量が格子へと移動しているらしい。なぜか?って理由を考え続けるのは大切だなぁ。 - Topological Insulators -- A review
https://arxiv.org/abs/1804.06471
コメント:トポロジカル絶縁体のレビュー。「 I also relied on some excellent Powerpoint slides of various talks. I have furnished a few choice references at the end and very few references to original papers. 」この辺ワロタ。 - Lieb-Schultz-Mattis定理による1651磁気空間群の分類
https://journals.aps.org/prb/abstract/10.1103/PhysRevB.97.165117
コメント:1651個の磁気空間群に対して、ふつうの絶縁体に対してフィリングが与える制約を系統的に調べた研究。とりあえず数の多さに圧倒される(こなみ - 高次トポロジカル絶縁体っておもしろいの?
https://arxiv.org/abs/1804.02794
コメント:高次トポロジカル絶縁体が結晶対称性に基づいた低次元トポロジカル絶縁体の積層として理解できることを提案する理論研究。全ての高次トポロジカル絶縁体に対して成り立つかは今後の課題とのこと。いろんな解釈があるんだなぁ(こなみ - Li(Fe,Co)Asのトポロジカル絶縁体相とトポロジカルディラック半金属相
https://arxiv.org/pdf/1803.00846.pdf
コメント:Li(Fe,Co)Asではトポロジカル絶縁体相とトポロジカルディラック半金属相が共存しているという研究。まじかよ鉄系すごいな。ARPES最強かよ。 - 磁気カイラリティと呼ばれる原子磁石どうしの捻れ現象のミクロな起源
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP478324_V20C18A4000000/
コメント:「Co と Pt の界面では、Co と Pt の双方の原子核の周りにある電子密度が面直方向には非等方に分布し~DMI と非等方な電子分布に相関関係があることを意味し~このような非等方な電子分布は Co と Pt の軌道混成効果によって生じることを理論的に明らか」にした研究。スピトロ~ - 平衡状態は量子もつれの分布も普遍的
https://research-er.jp/articles/view/70100
コメント:「孤立量子系の非平衡定常状態や量子系のエネルギー固有状態といった様々な量子純粋状態の量子もつれの空間分布に対して共通してよく当てはまることを確認しました。これにより、熱力学系と対応した量子純粋状態におけるエンタングルメント・エントロピーが、系の詳細によらない普遍的な性質を持つ」ことを示した研究。学生とPDだけでNat. Com. はすごいなぁ。 - グラフェンバイレイヤーを用いたゼロ磁場エキシトンBEC
https://physics.aps.org/articles/v11/39
コメント:これまでエキシトンBECは磁場下の量子ホール状態を利用することで達成されてきたが、2層グラフェンの間に絶縁層を挟むことで、ゼロ磁場エキシトンBECを達成した研究。バイレイヤーグラフェンの可能性は無限大。 - (Cu,Sr)Bi2Se3におけるネマティック超伝導の可視化と時間反転対称性の破れhttps://arxiv.org/abs/1804.09122
https://arxiv.org/abs/1804.08998 - Bi2Te3/Fe(Se,Te)の2回回転対称超伝導
https://arxiv.org/abs/1804.09319
コメント:前者は(Cu,Sr)Bi2Se3におけるネマティック超伝導の研究。μSRにより時間反転対称性の破れや、STMによる超伝導ギャップの2回回転対称性を観測している。後者はFe(Se,Te)上のBi2Te3に見られる2回回転対称超伝導ギャップのSTMによる観測。ネマティック超伝導どれくらい流行ってるんだろう? - 銅酸化物LSCOの量子臨界性の熱力学的兆候と3次元フェルミ面
https://arxiv.org/abs/1804.08502
https://arxiv.org/abs/1804.08019
コメント:銅酸化物超伝導LSCOの比熱による量子臨界性の研究と、ARPESによる3次元Fermi面の観測。p=0.19くらいで電子比熱の発散(有効質量の発散)が見られる。擬ギャップの終端と一致してるので、重い電子系とかみたいに何らかのQCPが存在していることを示唆しているとのこと。磁場侵入長の絶対値とかどうなってるのかな? - 鉄系超伝導体の軌道選択的スピン揺らぎによるDC伝導度異方性
https://arxiv.org/abs/1804.07293
コメント:鉄系超伝導体のネマティック相に見られる電気抵抗率の異方性の起源が、軌道選択的スピンゆらぎにあることを提案する理論研究。この問題、どうやったら解決するのかな?なにか予言してくれないと難しいかな。 - Bi2Se3/Nbのトポロジカル表面における超伝導
http://advances.sciencemag.org/content/4/4/eaar7214
コメント:Nb基板上にBi2Se3を形成してARPESで超伝導ギャップを観測した研究。絵がパワポっぽさがある。(良さ)。 - Bi2212の非平衡状態における電子-格子ダイナミクス
http://advances.sciencemag.org/content/4/4/eaap7427
コメント:時間・角度分解光電子分光で、Bi2212の電子格子ダイナミクスを調べた研究。他の強相関電子系にも応用できるかもとのこと。調べても調べても尽きない銅酸化物の物理ですなぁ。 - (Sn,In)(Te,Se)における2ドーム超伝導
https://journals.aps.org/prmaterials/abstract/10.1103/PhysRevMaterials.2.044802
コメント:高圧合成で広い組成範囲で(Sn,In)(Te,Se)を合成した研究。価数スキッピング元素を添加することで超伝導転移温度を上昇できるのではという予想を実証したとのこと。単純にドープしてるだけなのに、2ドーム型の超伝導ドームになるのは面白いなあ。
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