海外経験は東大教員を作り出すのか調べてみた



【イントロ】
 海外行きたくないですか?
 平成が終わって令和が始まる2019年の目標は週末海外旅行で、台湾とか行きたいんですよね。まあ、絶対行くという強い意志の一方まだ行けてないのが反省です。
 どうして行きたいのかというと、飽き飽きした日常を離れて、非日常の海外を訪れることで、普段味わうことのできない高揚感を味わうためです。
あと、写真をTwitterにあげてRT&Favを稼いで承認欲求を得たいからです。HAHAHA。
 他には、「休みのときって何やってるんですか?」と聞かれたときに、「この間、海外旅行いったんですよー」というと、「この人海外にぱっと行くくらいアクティブなんだー」というポジティブな印象を与えることができるという利点もあります。決して、「一人海外とか寂しい人…」というネガティブな印象はないと信じています…ないよね?

 さて、昨今のグローバル化が叫ばれる世の中で、海外経験が与えるポジティブな印象は少なからずあるように思えます。しかし、アカデミックな世界ではどのような効果を与えているのか疑問が浮かびます。研究はもともとグローバルな競争なので、わざわざ海外に行っても意味があるでしょうか?。とはいえアカデミックの世界では、博士取得後、海外ポスドクとしての就労が一つのキャリアパスとなっていますので、その経験が大学でのポスト取得とどのような関係があるのか、調べてみたいと思うのが人情です。
 本記事は、東京大学を対象に、教員の方の経歴から海外経験の有無を調べ、ポストを確保している人は、みんな海外経験あるのか調べてみたという内容です。

【方法】
 対象としたのは東京大学工学部物理工学科の教員紹介ページに有るスタッフの方の自己紹介ホームページ、CVで、記載された経歴から海外経験の有無を調べました。さらにそれが、ポスト取得前後どちらに渡航したのかも調べました。経歴不明の方(CV等が見つけられなかった)は空白にしています。あと、経歴に記載がなくても渡航経験がある方はいらっしゃると思いますが、今回は経験無し扱いとしました。価値があると思うなら記載されていると思ったからです。やっぱり調べるなら、日本で最高の人材が集まっている学部学科の教員ですよね?

【結果】
図1,2,3に教授、准教授・講師、助教に分けて調べた結果を示します。
図1、教授の海外経験

図2、准教授・講師の海外経験
図3、助教の海外経験
おもったよりも海外経験を経歴に載せてる方は少ないですね。ほぼ全員あるんじゃないかと思っていました。
 海外を経験された方は、平均して二年ほど海外に行かれていることが多いようです。ポスドクの場合三年位の任期で途中で帰ることが多いのかなと思ったりします。とはいえ、数ヶ月で帰る方も多く、短期滞在を複数回という方も何人かいらっしゃいました。
 また、博士取得が海外という方は殆どいらっしゃらない印象です。一名くらいでしょうか?日本の大学が最高の教育をしていることがはっきりわかりますね。
 教授、准教授・講師、助教で違いが見える点は海外渡航がポスト就任前後どちらか、という点です。教授の方たちは大学でのポスト確保後、海外で経験を積まれている方が多いようです。一方、准教授・講師・助教の方たちはポスト確保前に海外での経験を積まれていることが多いようです。
 昔はポストを確保してから海外で経験を積む、今は海外で実績を積んだ実力者を採用するという風潮にみえます。「海外に行っても国内に戻ってくる仕事があるかわからないから、海外行くなら国内ポストを取得した後」と言われる所以でしょうか?とはいえ、半数の方は海外経験を経歴に記載されていないので、それほど意味のあるものではないのかもしれません。
 
 さて、海外に向かった研究者が、どういった研究機関・国で経験を積んだのかまとめてみたのが図です。
図4,海外渡航先

 やはりアメリカが多い。アメリカの科学力は世界一ィィィ!!!
 ついでドイツも多いです。あとはイギリス、フランス、オランダ、スイスとヨーロッパが多いですね。ベテランの教授、准教授の方たちはIBMやベル研、若手の准教授、助教の方たちはマックス・プランクやUCバークレーなどが多く、時代の変遷を感じます。
 最近は中国の科学技術への投資は著しく、ポスドクの募集も積極的に行われていますが、現役教員の中で経歴に中国の研究機関を記載されている方は見つけられませんでした。今後ますます増えていくのかな?

【まとめ】
 東大物工を対象に、教員の海外経験の有無を調べました。経歴に海外経験を記載されている方は全体の半数以下で、アカデミックポストの取得の有無に海外経験は必ずしも必要ないようです。どこに行ったかではなく、実力とコネと運、これが一番大事ということでしょうか。
 とはいえ、実験、計算、思索が日本でできるとしても、海外で培った人的ネットワークがその後の研究にポジティブに働くと思われるので、積極的に海外に出ていく傾向はこれから増えていきそうですね。
 おれも、だれかと繋がりをもちたいです。。。

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