若手奨励賞は若手を奨励するのか問題

【イントロ】
励まされたい。。。
そう思う時ってありませんか?
辛い時、苦しいとき、先が見通せないとき。
一人でいると心が折れそうなとき。
そんなときに励まされ、勇気づけられることで前に進むことが出来るのです。

本当でしょうか?

励まされることでこれまでより頑張れるというのは、実際のところ本当なのでしょうか?

そこで、本記事では、励まされた人間がこれまでよりも頑張っているのか調べてみることにしました。

【方法】
 励まされる、つまり奨励された人間がより一層頑張っているのか調べるために、物理学会若手奨励賞に着目しました。奨励賞を受賞する前後で、活動の指標である論文数がどのように増減しているかを調べることで、奨励賞が若手を奨励しているのか調べてみました。
 調査対象は領域6「金属(液体金属,準結晶),低温(超低温,超伝導,密度波)」領域8「強相関電子系」、そして領域11「物性基礎論,統計力学,流体物理,応用数学,社会経済物理」の3つの領域としました。全部調べるのは大変だからね、しょうがないね。
 各受賞者の業績をResearcherIDResearchmapGoogle Scholar Citations、個人ホームページから調査し、各年の論文数を調査しました。その後、奨励賞受賞年までとそれ以降の平均論文数を比較することで、アクティビティの変化を捉えることを目指しました。
 本当は一つのサイトで業績を調べたほうが一貫性が出るのですが、今回は諦めました。個人ホームページに全てまとめてくれている研究者の方は神です。すべての方法で業績を確認できなかった方は除きました。
 また、業績は論文、プロシーディング、著書を含んでいます。「アウトプットがある」ことを重視した結果です。

【結果】
まず、各年の受賞者が、受賞前年までに何本論文を出していたかを示したのが図1です。

図1、奨励賞受賞前年までの論文数

・3・  …ちょっと分かりづらいので表にしてみました。

表1、領域ごとの受賞前年までの論文数

 多い人だと160本、少ない人だと3本の論文で奨励賞を受賞しています。これだけ論文数にばらつきがあると、本数というよりも中身を重視しているということがわかります。当たり前ですけどね。
 領域別に観てみると、領域6,8に比べて領域11の論文数が少ないことがわかります。とはいえ、最近の受賞者の論文数は20~30本に収束している感じがします。賞を与えるに値する年齢(30~35歳位)の人が出せる論文数はそのくらいということでしょうか。
 奨励されたい方は20本以上論文が出せるくらいの勢いでがんばりましょう。
 
 それでは、奨励賞受賞前後で平均論文数/年がどのように変化したかを示したのが次の図です。
図2、受賞前後での年平均論文数の変化

 領域8と領域11ではおよそ2/3の人が奨励賞受賞後、論文の生産性が上がっています。領域6では半分程度の人が論文数が増えています。一方、その他の方たちは、奨励後逆に論文数は減少しています。不思議だなぁ。
 もちろん、論文の数が減った代わりに一本あたりの影響力が上がった可能性もありますので、論文が出ていないからといって、活動が停滞しているとは言えません。とはいえ、論文数が減っているのは事実と思われます。奨励賞も受賞したし、時間のかかる研究にじっくり取り組んでおられるのでしょうか。それとも飽きてしまったか。

【まとめ】
 物理学会若手奨励賞受賞者の年平均論文数が奨励賞受賞前後でどのように増減したか比較しました。おおよそ半分以上の受賞者が、その後論文数の生産性を上げる一方で、むしろ減少している方たちがいることがわかりました。
 がんばれ♥がんばれ♥と声をかけることで論文がたくさん出るようになるかというと、そうでもないようです。質は上がるかもしれませんけどね。
 
ε-(´・_・`)ハァ…僕も誰かに奨励されたい、誰かを奨励したい。


コメント

  1. 今年も「気になった物理系記事」を書くことを奨励します

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