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一番強いARPESを決めようぜ!

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[イントロ] アインシュタインってご存知ですか? そうですね、「光電効果」の発見者ですね。 「相対性理論」?… すいません、 やくしまるえつこ の話はしていません。。。 光電効果とは「物質に光を照射すると、光と電子の相互作用によって、光のもつエネルギーが電子に与えられ、電子(光電子)が物質の表面から放出される」現象( Wiki )のことを指します。つまり、物質に光を当てると内部の情報がわかるわけですね。えっちですね。 この光電効果を利用して、物質内部の電子状態を調べる手段が「 光電子分光 」と呼ばれる手段です。テクいですね。実際、この手法を開発した カイ・シーグバーン はノーベル物理学賞を受賞しています。しかし、こんなテクい実験、どのような装置で実現されているのでしょうか?  そこで本記事では、光電子分光のなかでも、特に物質の バンド構造 を直接観測することができる「角度分解光電子分光」(ARPES、Angle-resolved photoemission spectroscopy)と呼ばれる手法について、世界でどのような手法と装置が使われているか調べました。調査に使用した文献は記事末尾にまとめておりますのでご参照ください。 [解説]  ARPESは入射光と光電子のエネルギー/運動量保存則を利用して、物質内部のバンド構造を直接観測する手段です。えっちですね。装置の調査の前に、ARPESを「光源から光をだす」「サンプル準備」「検出器」の3ステップに分けて、簡単にみてみましょう。  詳細は コチラのホームページ を参照ください。本記事をここで切り上げて コチラのホームページ を見たほうが人生の役に立ちます。今ならまだ間に合います、 神は観ている 。。。  光電子分光を実施するには、まず光源が必要です。この光源には、加速器からでる放射光、希ガスを利用した放電管、レーザーなどが使用されます。放電管、レーザーは実験室レベルで用意できますが、加速器はそうはいきません。一家に一台加速器は難しいですからね。そこで 全世界に存在する放射光施設 が利用されます。有名なところでは、「 Advanced Light Source 」(米国)、「 Diamond Light Source 」(英国)、「 DESY 」(ドイツ)

Cond-matデータから共著者ネットワークを探る

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[イントロ]  昨今、国家財政や企業の経営環境の悪化にともない、研究開発投資の選択と集中が求められている[1]。一方で過度な選択と集中は研究開発の進展を阻害するという主張もなされている[2]。実際に選択と集中を行うのであれば、その対象は他の研究者への影響力がより大きい研究者になされるべきであると考える。ここで、影響力が大きい研究者は、一定期間に複数の論文を出版し、多くの共同研究者とともに研究を進めていると考えられる。  本記事では、プレプリントサーバーarXivの固体物性分野 Cond-mat のデータを使用し、有力な研究者及び共同研究のハブとなっている研究者を特定することを目指した。 [手法]  共著者ネットワークの作成は先行研究[3]の手法を参照し、論文数取得のために筆者が一部改変したコードを使用した。調査期間は2015年から2019年までの5年間を対象とした。この期間のCond-mat分野の論文数は90705本であった。取得情報は該当期間における各研究者の論文数と共同研究者のネットワークとした。共同研究者ネットワークは各分野ごとにネットワークの構成員数が20名程度になるように、共同研究者数の閾値を設定し、閾値以上の研究者を抽出した。閾値以下の研究者はネットワークから除外したため、後のFigureで示すネットワークのエッジ数は必ずしも共著者数を表していない。  調査対象は以下の観点から選定した。 ・次世代エネルギー:「超伝導」 ・次世代情報処理:「スキルミオン」「マヨラナ」 ・次世代材料:「グラフェン」「トポロジカル」 ・工学的応用:「粉体」 解析に使用したコードと生データは Git-hub に保存している。 [結果] ・超伝導  超伝導とは特定の金属や化合物などの物質を非常に低い温度へ冷却したときに、電気抵抗が急激にゼロになる現象のことである[4]。Fig. 1に「超伝導」の研究者ネットワークを示す。検索ワードに該当する論文数は10261本であった。非常に複雑なネットワークが形成されており、特に中国系の研究者が上位に来ていることがわかる。日本の研究者では物質材料研究機構(NIMS)の K. Watanabe 博士、 T. Taniguchi 博士が論文数、共同研究者

2020年5月の気になった論文(完成版)

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2020年5月の気になった論文です。 コロナ~早く終わってくれ~~ 人生が終わる~~ 2020/5/10 Ver. 1 No. 1 ~ 50 2020/5/17 Ver. 2 No. 51 ~ 81 2020/5/19 Ver. 3 No. 68追記(すごい怪しい室温超伝導)、No. 82 ~ 108 2020/5/23 Ver. 4 No. 109 ~ 126 2020/5/30 Ver. 5 No. 33追記、No. 127 ~ 153 ・マジックアングルα-MoO3が次の流行りか? ・久しぶりの室温超伝導案件、水素化グラファイトファイバーにテンションAge↑ ・磁場かけながら結晶育成、イノベーションを感じる。 ・マージナルフェルミガラス状態とか興味深いですね。 ・1次元イジング反強磁性体でE8リー代数励起状態の発見、物性をやるにはリー代数まで必要になる時代ですか。 ・CsFe2As2の非ネマティック弾性応答、悩ましい。。。 1,In the Pursuit of Majorana Modes in Iron-based High-Tc Superconductors https://arxiv.org/abs/2005.03603 鉄系のマヨラナゼロモードの最新レビュー。マヨラナゼロモードの有無とギャップ対称性ってどう関連してるんだろう(無知) 2,Towards Electrical-Current Control of Quantum States in Spin-Orbit-Coupled Matter https://arxiv.org/abs/2004.14510 電流誘起量子相制御はいろいろ報告されてるし、例の現象(電流誘起反磁性)も理論的にはあり得るらしいから、そのうち完全な形で報告されるといいな(こなみ 3,Spin hydrodynamic generation in graphene グラフェン中では粘性の高い電子流体の流れと垂直な方向にスピン流が生じるよ説、電子流体の物理は面白そうですねぇ。 https://arxiv.org/abs/2005.01493 4,Anomalous Hydrodynamic Transport in Interacting