投稿

2025年12月の気になった論文(暫定版)

イメージ
 1年早すぎんか??? ※Amazonアフィにアクセスしてやってください🙇‍♀🙇‍♀🙇‍♀🙇‍♀🙇‍♀🙇‍♀ Kindle本 セール&キャンペーン https://amzn.to/4rEwPDG ‐2025/12/1,2,3,4,5‐‐ Fermionic neural Gibbs states https://arxiv.org/abs/2512.04663 我々は、強く相互作用するフェルミオンの有限温度特性をモデル化するための変分フレームワークであるフェルミオンニューラルギブス状態 (fNGS) を紹介します。 Tracing the horizon of tetragonal-to-monoclinic distortion in pressurized trilayer nickelate La4Ni3O10 https://arxiv.org/abs/2512.04975 加圧下におけるルドルステッド・ポッパー型ニッケル酸化物の超伝導機構を解明する上で核心となるのは、その構造相の解明である。常圧条件下では、三層構造を有するニッケル酸化物La4Ni3O10は、空間群P21/cの双晶単斜晶構造で安定する。加熱に伴い、この物質はTs ≈ 1030 Kで四方晶I4/mmm相への構造転移を起こす一方、冷却時にはTDW ≈ 135 K以下で密度織り目(DW)秩序の出現に伴う第二の転移が生じる。本研究では、高品質フラックス法単結晶を用いた圧力-温度条件下でのX線回折測定により、中間的な斜方晶Bmab相の痕跡を一切認めない、四方晶相から単斜晶相への直接的な構造転移を明確に実証した。 Anomalous impurity-induced charge modulations in black phosphorus https://arxiv.org/abs/2512.04791 走査トンネル顕微鏡 (STM) により、半導体黒リンの表面でイオン化したインジウム不純物によって誘起される異常な電荷変調を観察します。 Magnetocaloric effect measurements in ultrahigh magnetic fields up to 120 T https://arxiv.org/abs/2512.04509 我々は、古典的なスピンアイス...

論文を捏造しよう!~Googleの画像生成AI「Nano-Banana」を利用したグラフ編集の可能性と人間力向上~

イメージ
更新履歴:2025/12/3更新 【はじめに】  実験データの捏造は絶対にやめましょう。 その上で、あえて問います。もし、もっともらしい実験データやグラフが、AIとの対話だけで一瞬にして作れてしまうとしたら? 本記事では、生成AIを用いた画像の作成プロセスを例に挙げながら、かつては「手間がかかりすぎる」とされた捏造の手法がいかに陳腐化し、容易になってしまったかを実証します。これは、現代の科学リテラシーに対する緊急の警鐘です。 それでは、以下内容をお楽しみください。 【イントロ】 論文、捏造したいですよね。 実験結果が思った結果にならなかったとき。 出てきた結果のインパクトが小さいとき。 実験をやり直すには締切に間に合わないとき。 そんなときこそ、実験結果の捏造のチャンスです。 でも、思った通りの実験結果を作るのは意外と大変です。 元データの数値を変えて、グラフをプロットし直して・・・ めんどくさい! なんとかもっと簡単に実験結果を捏造できないでしょうか? できます。 そう、GoogleのNano-Bananaならね Nano-Bananaが描いてくれたトップ画像です 【方法】 いくつかのユースケースにおいて、Googleの最新画像生成AI 「 Nano-Banana 」 を利用して、論文中のグラフの捏造を行いました。 Nano-Bananaは Google GeminiのPro機能 を契約し利用しました。 今なら1ヶ月無料です。 元となるグラフは、パワーポイントで手書きしたグラフをNano-Bananaで、以下プロンプトを使って脚注含めて清書したものになります。 「添付の画像は~のグラフです。この図をPhys.Rev.Bに掲載されるような論文のグラフの画像にしてください」 グラフの着想元になった論文は以下記事中に記載しています。 【結果】 ユースケース1:超伝導転移温度を高くしたい! 新物質の電気抵抗を測定したら、超伝導転移を示したけど、転移温度が低くてインパクトが低いな~ 30Kくらいの転移温度じゃ話題にならないよなぁ~ せめて窒素の液化温度、77K以上くらいにならないかな~ そうだ!捏造しよう! そんなときも簡単。Nano-Bananaに以下のようにお願いしましょう 「論文の図を修正したいです。図は超伝導体の電気抵抗の温度依存性で、30K付近から抵...

LLMを研究アシスタントに使えるか?~銅酸化物超伝導の研究を例に~

イメージ
 【イントロ】 ある研究分野の歴史が長いほど、何がわかっていて何がだめな取り組みだったのか、 もはやすべてを理解しているのは長年研究に従事してきたその分野の専門家だけとなり、 新規参入者がすべてを把握するのは難しくなります。 新規参入者がいない分野は、いずれ滅んでしまう悲しい現実。 学生や若手研究者が新しい研究分野に取り組もうとしたとき、そんな研究への障害をAIにより取り除き、新しい風を研究分野に取り込むことは可能でしょうか? AIに取り組みたい研究分野の概観や未解決問題を問いかければ、専門家も納得する精度の回答を返してくれるのであれば、若い研究者が新しい分野へ挑戦することが容易になり、新発見につながる可能性が高くなると期待されます。 では、現在の最先端のLLMベースのAIシステムは、長い歴史をもつ研究分野の専門家が納得するような回答を返してくれるのでしょうか? この問を、40年近い研究の歴史を持ちつつ多くの未解決問題を抱える、銅酸化物高温超伝導体の研究をテーマに取り組んだ研究がArxivに報告されました。 本記事では、コーネル大学とGoogleを中心とする研究チームによるこの研究論文、 Haoyu Guo et al. ,  Expert Evaluation of LLM World Models: A High- Superconductivity Case Study ,  arXiv:2511.03782 [cond-mat.supr-con] ( Accepted at the ICML 2025 workshop on Assessing World Models and the Explorations in AI Today workshop at ICML'25) を読んでみました。 【方法】 銅酸化物超伝導体は、常圧で最高の超伝導体転移温度を持つ物質群であり、リニアモーターカーや核融合発電への応用だけでなく、基礎的な超伝導発現メカニズムだけでなく常伝導状態の異常物性、そして室温常圧超伝導体への実現につながる可能性から、多くの研究者の注目を集め続けています。 一方で、1986年の発見以来、40年近い時間の中で膨大な研究が行われ、その中の研究をすべて把握することは、学生や若手研究者にとって困難となっている状態です。...

2025年11月の気になった論文(暫定版)

イメージ
たすけて~~~ ※Amazonアフィにアクセスしてやってください🙇‍♀🙇‍♀🙇‍♀🙇‍♀🙇‍♀🙇‍♀ Kindle本 セール&キャンペーン https://amzn.to/4oTi1Pn ‐2025/11/24,25,26,27‐‐ Visualization of Current-Driven Vortex Formation in High- T c Cuprate Superconductors https://arxiv.org/html/2511.19896v1 タイプII超伝導体では、量子渦の存在に起因するヒステリシス現象が観測される。温度と外部磁場を変化させる順序がこの現象において決定的な役割を果たす。ここで我々は、外部駆動源として磁場ではなく電流を採用する。高温超伝導体である銅酸化物薄膜を冷却した後、この試料の磁場分布を画像化する実験を行った。 Planar Josephson junctions for sensors and electronics:Different geometry, new functionality https://arxiv.org/abs/2511.20424 ジョセフソン接合は超伝導エレクトロニクスにおいて中核的な要素技術である。最も一般的なタイプは重なり型(サンドイッチ型)接合であり、これは2層の超伝導体を垂直方向に積層することで形成される。これに対し、平面型接合は超伝導薄膜を単一平面内で重ね合わせることなくエッジ部分に形成される。この幾何学的構造の違いは、両者の物理的特性に重大な影響を及ぼす。平面型接合は磁場に対する感度が著しく向上し、テラヘルツ(THz)デバイスにおけるインピーダンス整合性も改善される。その二次元構造により、電子部品の設計が簡素化・柔軟化され、大幅な小型化が可能となる。本稿では、超解像磁気イメージング用のカンチレバー型接合センサー、渦電流を利用したメモリセル、およびプログラマブル超伝導ダイオードなど、新規技術への平面型接合の応用における最新の進展について詳述する。 Ta-based Josephson junctions using insulating ALD TaN tunnel barriers https://arxiv.org/abs/2511.20266 ジョセフソ...